Project/Area Number |
11J00480
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
General medical chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 知恵美 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | MMP / 造血 / niche / HIF-1 / 造血因子 |
Research Abstract |
これまでに金属要求性蛋白分解酵素の一群である可溶型マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、中でもMMP-9が組織幹細胞の分化増殖また末梢組織の再生に重要な役割を担っていることが報告されている。これらの研究過程においてMMPの活性化が骨髄中のKit-ligand(stem cell factor)の細胞外ドメイン分泌(プロセシング)を誘導し、骨髄組織幹細胞及びその前駆細胞の分化増殖あるいはその再生を促進することが明らかとなっている。MMPは生体内で潜在酵素Pro-MMPから血液線維素溶解系因子プラスミンや他のMMPにより段階的かつ相補的に活性化されることが報告されている。特に、血管新生過程において血管内皮などに発現が増強することが知られる膜型MMPであるMMP-14(MT1-MMP)は、MMP-2やMMP-9等、他の各種MMPの活性制御因子として、MMP活性化カスケードの上位から機能していることが示唆されている。MT1-MMP遺伝子欠損マウスの解析の結果、MT1-MMP-/-マウスは生後2週間で致死となり、さらに野生型と比較して、MTI-MMP-/-マウスは血球三系統や骨髄中の造血前駆細胞が有意に減少していたのに対し、造血幹細胞の頻度には差は見られず、骨髄における細胞分化障害あること、また、各種造血因子が減少していることを報告した。 造血幹細胞は造血幹細胞ニッチと呼ばれる特殊な環境下に存在している。ニッチは低酸素状態に保持されており、そこでは低酸素誘導因子(HIF-1)が活性化されている。マクロファージや単球において、MTl-MMPはタンパク質分解活性とは独立して、その細胞内領域でHIF-1活性阻害物質であるFIH-1(factor inhibiting HIF-1)と結合していること、またこれによりエネルギー代謝に関与している因子であることが報告されていることから、造血微小環境においてもMT1-MMPがFIH-1活性を抑制することでHIF-1活性を制御している可能性が示唆された。そこで、ストローマ細胞株を用いて、MT1-MMPおよびFIH-1遺伝子発現調節を行ったところ、各種造血因子の発現が変動することが明らかとなり、MT1-MMPは造血微小環境においてFIH-1/HIF-1を介して造血因子の発現調節に関与している因子であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨髄細胞におけるMT1-MMPの機能解析により、MT1-MMP遺伝子欠損マウスでは微小環境を構成する各種細胞の減少が明らかとなったこと、またMT1-MMPはFIH-1/HIF-1を介した各種造血因子の発現調節制御を行う因子であることが明らかとなり、本研究の目的であるMT1-MMPの造血機構における重要性を示唆することができた。本研究成果については論文発表を通して国内外に発信することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
MT1-MMPは微小環境においてHIF-1を介して各種造血因子の発現に関与することが明らかとなった。近年では、血液系疾患の一つである白血病には白血病幹細胞が微小環境に存在していることが示唆されている。そこで白血病の新規治療標的として、微小環境中のMT1-MMP活性制御の可能性を明らかにしていきたいと考えている。
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