Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
T2K実験は2009年に開始した長基線ニュートリノ振動実験である。茨城県東海村のJ-PARC加速器により生成されたニュートリノを生成点直後にある前置検出器と295km離れたスーパーカミオカンデで観測することによりニュートリノ振動の精密測定を行う。ニュートリノ振動実験においてはニュートリノ反応に対する理解が重要になるため、私は自ら開発、製作したニュートリノ検出器を用いてニュートリノ反応断面積の精密測定を行った。最初に鉄標的と炭素標的における荷電カレント反応断面積とその反応断面積の比を測定した。測定結果はモデル予測とよく一致しており、標的原子核に依存した変則性が測定精度の範囲で存在しないことを確認した。次にT2K実験のニュートリノ振動測定で信号モードとしている荷電カレント準弾性散乱(V_μ+n→μ^-+p)の反応断面積を測定した。測定結果はモデル予測とよく一致していたが、原子核模型としてT2K実験で用いているフェルミガス模型よりスペクトル関数を用いた場合を好む結果が得られた。さらにニュートリノが原子核全体と相互作用する荷電カレントコヒーレントπ生成反応(V_μ+A→μ^-+π^++A' : Aは原子核)の反応断面積を測定した。測定結果は広く用いられているRein-Sehgalモデルによる予測より有意に小さかったが、荷電カレントコヒーレントπ生成反応が存在しない場合の予測より1.5σの超過が見られた。これらの測定と並行してニュートリノ振動解析も行った。T2K実験においてはこれまでミューニュートリノが電子ニュートリノに変化するモードによる混合角θ_<13>の測定とミューニュートリノが、それ以外のニュートリノに変化するモードによる混合角θ_<23>と質量二乗差Δ㎡_<32>の測定の解析を独立に行ってきた。実際にはそれらの測定間には無視できない相関があるため、私は2つのモードを同時にフィットする解析手法を確立し、θ_<13>, θ_<23>, Δ㎡_<32>を正確に測定した。さらにこの解析を原子炉ニュートリノによるθ_<13>の測定結果と組み合わせることによりCP非保存項δ_<cp>に制限を与えた。
(抄録なし)
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Physics Review Letters
Volume: 112 Issue: 6 Pages: 61802-61802
10.1103/physrevlett.112.061802
Physical Review D
Volume: 87 Issue: 9 Pages: 0920031-20
10.1103/physrevd.87.092003
Physics Review D
Volume: 88 Issue: 3 Pages: 32002-32002
10.1103/physrevd.88.032002
Volume: 111 Issue: 21 Pages: 211803-211803
10.1103/physrevlett.111.211803
Volume: 87 Issue: 1 Pages: 12001-12034
10.1103/physrevd.87.012001
Nuclear Instruments and Methods A
Volume: 694 Pages: 211-213
10.1016/j.nima.2012.03.023
Volume: (掲載確定)
Volume: 659 Issue: 1 Pages: 106-135
10.1016/j.nima.2011.06.067
Volume: 107 Issue: 4 Pages: 41801-41808
10.1103/physrevlett.107.041801
Volume: 85 Issue: 3 Pages: 31103-31110
10.1103/physrevd.85.031103
http://www-he.scphys.kyoto-u.ac.jp/member/kikawa/research.html
http://www-he.scphys.kyoto-u.ac.jp/member/kikawa/