Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
イオン液体(IL)は,室温でも液体として存在する塩であり,イオンの組み合わせによって物性を調節することが可能な機能性溶媒である。ILを抽出媒体として用いた場合,その特殊な溶媒特性から,従来の有機溶媒とは大きく異なる挙動を示すことが考えられる。本研究は,金属イオンの高効率抽出系を構築し,有害金属イオンを発光により検出可能な抽出クロミックセンサを開発することを主要な目的としている。本年度は,1-アルキル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド([C_nmim][Tf_2N],アルキル基炭素数(n)=4,6,8)を用いて,発光性大環状配位子によりILに抽出されたカドミウム(II)錯体の分光特性および2-テノイルトリフルオロアセトン(Htta)により抽出されたユウロピウム(III)錯体の特異な溶媒和について研究した。 1)抽出試薬として合成した発光性大環状配位子5-クロロ-8-キノリノール結合ジアザ-18-クラウン-6(H_2ClQDA18C6)は,カドミウム(II)と錯形成することによって,IL中で544mmに強い蛍光を示し,1μMまでの検出が可能であることを見出した。したがって,本抽出系は,微量のカドミウム(II)を発光により検出可能な抽出クロミックセンサとして利用できることを示した。 2)抽出試薬としてHttaを用いたILへの中性ユウロピウム(III)キレートの抽出において,正則溶液論を適用したところ,いずれのILも不活性溶媒とは異なり,含酸素有機溶媒と同様に,正則溶液からの正のずれを示した。エレクトロスプレーイオン化質量分析法により,1%のILを含む1,2-ジクロロエタン中でのEu(tta)_3(H_2O)_3の化学種を調べたところ,Eu(tta)_3(Tf_2N)^-が検出され,IL中での安定な溶媒和化学種と考えられるものを初めて捉えることができた。
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