Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
海底熱水系は生命前駆物質の化学進化が起こった環境のひとつとして注目されてきた(e.g., Collis et al., 1990 ; Russell, 2003). 海底熱水系を模擬した有機物の非生物的合成に関する研究では, 海底熱水の物理化学的条件(pH, 温度, 溶存イオン, 圧力など)は系統的に調べられてこなかった. 近年, 我々の研究でpH, 温度, 溶存イオンのアミノ酸反応系への影響を系統的に評価し, アミノ酸重合反応がpH9.8, 150℃で最も促進され(Sakata et al., 2010), その促進効果は銅イオンを含む場合でより大きくなることを報告した(Sakata et al. in press). しかし, 圧力が熱水中でのアミノ酸重合反応に及ぼす影響はいまだ明らかではない. また, アミノ酸重合反応は粘土鉱物によって促進されることが知られているが(e.g., Rode, 1999 ; Lambert, 2008), 海洋地殻を構成する玄武岩の効果は全く調べられていない. そこで, アミノ酸重合反応に最適な海底熱水条件を特定するために, 最も単純なアミノ酸であるグリシンの重合反応に及ぼす玄武岩, 圧力および温度の影響を反応速度論的に評価した. グリシルグリシン(グリシン二最体), ジケトピペラジン(グリシン無水物)の収率は温度に比例して増加した. 一方, グリシルグリシン, ジケトピペラジンの収率は圧力には依存しなかった. 玄武岩を含む場合では, グリシルグリシンの生成量は玄武岩を含まない場合に比べて約2.6倍に増加し, グリシンの重合速度も約13倍に増加した. 一方, ジケトピペラジンの生成量は玄武岩の有無で変化が見られなかった. よって, 玄武岩は, グリシルグリシンの生成を選択的に促進する効果があることが分かった. 玄武岩によるグリシン重合の促進効果は, 玄武岩中のアルミナ, シリカがグリシンを吸着し, グリシンのアミノ基による求核反応を促進するためであると結論づけられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度で行った研究成果について論文が受理されたことに加えて, さらに平成25年度ではアミノ酸重合反応に及ぼす圧力, 温度, pH, 玄武岩についても評価が出来たため. 平成25年度に行った研究内容については, 現在研究成果の論文を執筆中である. そのため, おおむね順調に進展しているといえる.
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