Project/Area Number |
11J01758
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Functional materials/Devices
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 克明 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2011 – 2012
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
|
Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Keywords | 磁性 / 液晶 / キラリティー / ニトロキシドラジカル / ソフトマター / 強誘電性 / 磁性液晶 / 磁気液晶効果 / 磁気電気効果 / 磁性ヒドロゲル / 磁性ソフトソフトマテリアル |
Research Abstract |
強誘電性と磁気秩序を併せ持つ化合物の多くは無機化合物であり、電場により磁化が変化する、あるいは磁場によって電気分極が変化する磁気電気効果の発現が報告されている。我々が合成した化合物は強誘電性SmC*相(強誘電性)を示し、かつ液晶相中において特異な磁気相互作用(正の磁気液晶効果:磁気秩序)を発現するため、化合物の正の磁気液晶効果を電場によって変化させることができるのではないかと考えた。そこで化合物1を液晶セルに封入し、電場を印加した状態でEPRスペクトルを測定することにより、磁化率の電場依存性を測定した。その結果、磁化率は電場に対してヒステリシスを描くように変化することが明らかとなった。この結果は有機ニトロキシドラジカル化合物の磁化率が電場変化を示した世界初の例である。さらにFPRスペクトルの線幅の電場依存性を調べることにより、この変化がスピン―スピン双極子相互作用の変化に由来するものであることを明らかにした。 さらに、我々は、金属イオンに配位可能なビピリジン構造を持つキラル有機ラジカル化合物を新たに設計、合成した。DSC測定と偏光顕微鏡観察により、この化合物が、N-SmC液晶相を示すことを明らかにした。さらにXRD測定から、SmC相における層間隔は42.6Aであり、分子長軸が層平面に対して約27。傾いていることが示唆された。また、EPR測定から、この化合物が、液晶層において正の磁気液晶効果を示すことも確認された。以上の結果は、有機無機ハイブリッド磁性液晶の開発に向けての重要な基礎的な知見になるとかんがえられる。 また、スピン―スピン相互作用を増大させることにより、強い磁気相互作用を発現させることを目的として、二つのニトロキシド基が接近したシクロヘキサン構造を有するビラジカルに注目した。このコア構造は平面性を欠くため、水素結合によって液晶性の発現が促されることを期待して、コアの両端にアミド結合を導入したラセミ体の化合物を合成した。DSC測定、偏光顕微鏡観察、XRD測定から、この化合物がディスコティック液晶相を示すことが明らかにした。ビラジカル液晶の発現例は今までになく、今後のさらなる研究が期待される。 有機両親媒性分子についても研究を進めこれらの化合物が水中においてミセルやエマルションを形成することを明らかにした。この結果は磁場誘導型ドラッグデリバリーシステムへの応用に向けた重要な知見となると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、液晶中の磁気相互作用に電場が及ぼす影響について、EPR測定とその結果の解析から考察を行い、その結果をSoft Matter誌に報告することができた。さらに、これまで研究例のない有機無機ハイブリッド液晶の開発に向けて合成されたビピリジンユニットを持つラジカル液晶が液晶性を示すことが明らかとなり、有機無機ハイブリッド液晶の開発への大きな一歩を進めることができたと考えられる。また、これまでに報告例めない、水素結合のを有するディスコティック液晶性ビラジカル化合物の合成にも成功した。また、両親媒性有機ラジカル化合物についてもミセルやエマルジョンといたソフトマターとなりうることが明らかとなり、研究は概ね期待通りに進展したと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、ビリピジンユニットを持つラジカル液晶については、ルテニウム塩化合物とを反応させ、有機無機ハイブリッド化合物の合成を行い、この化合物の液晶性について同定を進める。液晶性が発現しない場合にはルテニウム配位子の構造を変化させるなどして液晶性の発現を目指す。 水素結合のを有するディスコティック液晶性ビラジカル化合物に関しては、DSC、XRD、偏光顕微鏡等による液晶相の同定を行う。また、それと同時にSQUIDやESR法を用いた磁気物性の解明を行なう。 両親媒性有機ラジカル化合物については、SEMやTEM観察による構造解析を行った後に、ESRやSQUIDを用いて磁気物性の解明を行なっていく予定である。
|