フラーレンを用いた非侵襲性ナノDDS医薬の創製と炎症性腸疾患治療への応用
Project/Area Number |
11J01936
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biomedical engineering/Biological material science
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 浩平 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ナノマテリアル / フラーレン / 炎症性腸疾患 / DDS / 経口投与製剤 / 安全性 |
Research Abstract |
本研究は、安全かつ有効な「経口投与型ナノDDS医薬」の開発を最終目標に、DDS化C60フラーレンを新規合成・創製し、炎症性腸疾患に対する有効性・安全性を精査しようとするものである。当該年度は、初年度に創製したPVPフラーレンとともに、新たに創製した水酸化フラーレンの経口投与型ナノDDS医薬としての有効性・安全性をin vivo、in vitroで評価した。まず、腸管上皮細胞を用いてin vitroで各種フラーレンの抗酸化作用・炎症性サイトカイン産生抑制作用を評価した。その結果、水酸化フラーレンは細胞傷害性を示さない濃度においても、抗酸化剤であるN-アセチルシステインと同程度の抗酸化作用を示すと共に、腫瘍壊死因子(TNF-α)刺激によって誘導される炎症性サイトカイン(1L-8)産生を顕著に抑制し、抗炎症作用を有することを明らかとした。さらに、細胞傷害性を指標に各種水酸化フラーレンの安全性を評価したところ、in vitroで抗酸化作用・抗炎症作用が認められた濃度においても、細胞傷害性は全く認められず、水酸化フラーレンは極めて安全性に優れていることが示唆された。次に、DSS誘発大腸炎モデルマウスに水酸化フラーレン(C60[OH]36、C60[OH]44)を1週間経口投与し、体重変化を観察すると共に、投与開始から1週間後に解剖し、血便率、大腸長を測定した。その結果、C60[OH]36を投与した群では、DSSによる体重減少、及び大腸の短縮が有意に抑制された。また、これまでに我々の研究室で確立した方法により水酸化フラーレン(C60[OH]36)の安全性(一般毒性・免疫毒性・遺伝毒性・生殖発生毒性)をin vivo、in vitroで評価した。その結果、C60[OH]36は、DSSモデルに対して治療効果を示す投与量においても顕著な毒性を示さず、極めて安全性が高いことを明らかとした。以上の結果より、水酸化フラーレン(C60[OH]36)は炎症性腸疾患に対する安全かつ有効な治療薬となる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度はin vitroで有効性、安全性が見出されたPVPフラーレンの経口投与型ナノDDS医薬としての安全性・有効性を、炎症性腸疾患モデルを用いて評価した。また、新たに多数の水酸基をフラーレン骨格に導入した水酸化フラーレンを創製し、経口投与型ナノDDS医薬としての有効性・安全性をin vivo、in vitroで評価した。その結果、水酸化フラーレン、特にC_60[OH]_36はIn vitroで強力な抗酸化作用・抗炎症作用を示すと共に、炎症性腸疾患モデルマウスに対して治療効果を示し、かつ安全性にも優れていることを明らかとした。医薬品化に必須であるADMEに関する情報の収集が今後必要とされるものの、ある程度の進展はあったと評価する。
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Report
(2 results)
Research Products
(19 results)