Project/Area Number |
11J02158
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
皮膚科学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野田 真史 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | アルサス反応 / 血管炎 / CXCL10 / CXCR3 / ノックアウトマウス / 抗原抗体反応 / 3型アレルギー / 動物モデル |
Research Abstract |
ケモカインCXCL10とそのレセプターであるCXCR3それぞれのノックアウトマウスに対して免疫複合体疾患(3型アレルギー)の動物モデルである逆アルサス反応を用いた。皮膚血管に血管炎の病態を実験的に作り出し、血管炎におけるCXCL10-CXCR3シグナルの関与を調べるのがこの実験の目的である。 CXCL10、CXCR3それぞれのノックアウトマウスと野生型マウス、計3系統のマウスを用いて逆アルサス反応における炎症反応の程度を比較した。具体的には、ニワトリ卵白アルブミンをマウスの尾静脈から注射し、その直後に抗ニワトリ卵白アルブミンIgG抗体を皮下注射した。その後皮下における浮腫(注射から4時間後)の程度を評価した。 これまでに行った実験で、CXCR3ノックアウトマウスでは野生型マウスと比較して浮腫の程度はごくわずかに減弱するのみであったが、CXCL10ノックアウトマウスでは大きく浮腫の程度が減弱していた。また、浮腫を起こした部位を皮膚生検して免疫染色も含めて組織学的に検討したところ、好中球数は野生型マウスと比較してCXCL10ノックアウトマウスで減弱していた。一方、マスト細胞数には3系統のマウス間で差がみられなかった。さらに組織からmRNAを抽出してcDNAに変換し、定量的RT-PCR法で発現量を調べたところ、IL-6やIL-1βといった炎症性サイトカインの発現量が野生型マウスと比較してCXCL10ノックアウトマウス減少していた。一方、CXCR3ノックアウトマウスと野生型マウスでは皮膚における炎症性サイトカイン産生量に明らかな差はみられなかった。 CXCL10とCXCR3はケモカインとケモカインレセプターの関係にあり、CXCL9, CXCL10, CXCL11がCXCR3のリガンドとなる。よって、仮説としてはCXCR3ノックアウトマウスでより逆アルサス反応が減弱すると予想していたが、実際には逆であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケモカインCXCL10が免疫複合体形成による血管炎において重要な役割を果たしていることが明らかとなった。一方で、CXCR3の欠損はこの実験系における血管炎に大きな影響を与えないことが示唆された。今後、CXCL10は血管炎における治療のターゲットとなる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今回はマウスの実験系においてケモカインCXCL10が免疫複合体形成による血管炎における炎症反応増幅に関与していることを明らかとしたが、実際にはヒトの血管炎における関与は異なる可能性がある。ヒトの系で同様の実験を行うことは不可能であるが、血管炎患者から生検等により採取された皮膚組織を同意取得の上用いて免疫染色, FACSといった実験系でCXCL10の関与を確認する必要があると考える。 また、今回はCXCL10ノックアウトマウスを用いた実験を行ったが、今後治療につなげるためにはCXCL10の中和抗体を用いてアルサス反応が減弱する事を確認する必要があると考える。
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