Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
r(GGAGGAGGAGGA)という配列からなるRNAアブタマーのR12はプリオン蛋白質を高い親和性で捕捉する。本研究ではR12がプリオン蛋白質を認識するメカニズムを高分解能で明らかにし、アプタマーによるプリオン病の治療薬の創製を目指した。申請者はR12の立体構造をNMR法によって決定し、またR12がプリオン蛋白質のN末端ドメインに存在する2つの塩基性クラスターを認識することも明らかにしている。この2つの塩基性クラスターのうち、1つに対応するペプチドとR12の複合体の立体構造を原子レベルの分解能で明らかにした。もう1方に対応するペプチドについても、ケミカルシフトパータベーション法と、R12とペプチドの分子間NOEのパターンにより相互作用様式を同定した。本年度では、プリオン蛋白質のN末端ドメインとR12について相互作用様式を調べたところ、R12の各単量体と各塩基性クラスターと2ヶ所同時の相互作用により、高い親和性を得ていることを明らかにした。R12は正常型と異常型のどちらの状態におけるプリオン蛋白質にも結合するが、正常型には解離定数にして1桁以上強く結合する。よってR12が正常型へ結合して、これにより異常型への構造変換を妨げ、プリオン病の発症を抑えられる可能性がある。これを調べるためにヒトのプリオン病の1つであるGSS病を感染させたマウスの視床下部由来の細胞を用いて、R12の抗プリオン活性を検証した。R12を添加して培養した場合、緩衝液のみを加えた場合と比べて異常型プリオン蛋白質量が65%まで減少した。さらにR12とRNase阻害剤を加えて培養した場合では、異常型プリオン蛋白質量が半分まで減少した。本研究により、R12の抗プリオン活性が見出され、この活性の構造学的基盤も明らかにされた。
All 2013 2012 2011
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (13 results)
Nucleic Acids Research
Volume: 41 Issue: 2 Pages: 1355-1362
10.1093/nar/gks1132
Carbohydrate Research
Volume: 360 Pages: 102-108
10.1016/j.carres.2012.07.023
FEBS Journal
Volume: (印刷中) Issue: 8 Pages: 1456-1463
10.1111/j.1742-4658.2012.08538.x
International journal of biological macromolecules
Volume: 50 Issue: 1 Pages: 236-244
10.1016/j.ijbiomac.2011.10.024