Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2013: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2012: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
琉球列島に生息する両側回遊魚の大規模回遊種と局地的回遊種のそれぞれ複数種をモデルとして, 仔魚の行動特性, 流下と加入の生態特性, 海洋における分散過程について比較研究を行い, ハゼ科における両側回遊生態を明らかにし, その進化の過程を考察することを目的とした。 2011年からの継続として, 両側回遊魚のボウズハゼとヨシノボリ属仔魚の海から河川への加入生態を明らかにするため, 毎月1,2回, 沖縄島の有津川で潜水調査を行った。仔魚の加入は1月から観察され, 4月から6月がピークであった。ボウズハゼの加人期間は本州よりも長く, 本種の回遊生態が緯度により変動することを明らかにした。ボウズハゼ仔魚について耳石による日齢査定を行ったところ, 仔魚は聯化直後から約200日間を海で過ごすことが分かった。 大規模回遊種ルリボウズハゼとナンヨウボウズハゼの産着卵から艀化仔魚を得て, 超小型ワムシ(プロアレス), SS型ワムシを給餌し, 飼育を行った。艀化後0,1,2,3,5,7日後の昼と夜の仔魚の比重を測定した結果, 比重は, 艀化直後には大きな値を示すものの, 発育とともに急減し, さらに昼夜で変化することがわかった。 沖縄島において, 通し回遊性ハゼ亜目魚類のうち大規模回遊種ナンヨウボウズハゼと局所的回遊種ナガノゴリ, ゴクラクハゼを採集した。フランス国立自然史博物館において, レーザーアブレーションICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)を用いて, これらの耳石に含まれるSr, Ca, Mg, Baの各元素量を測定し, 回遊履歴を分析した結果, 3種はいずれも両側回遊型の回遊パタンを示すものの, 河川への加入生態を反映して, 異なる移動形態を持つことが明らかとなった。 以上の結果より, ハゼ亜目魚類の通し回遊は, 回遊規模に加えて, 海洋での生態, 河川と海との回遊パタンなど様々な要因により形成, 維持されてきたと推察された。
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