マメ科植物と根粒菌による共生窒素固定能強化の分子基盤解明及び作物への応用
Project/Area Number |
11J03498
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Crop science/Weed science
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
富永 晃好 鹿児島大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 窒素固定活性 / enf1変異体 / 次世代ゲノムシーケンサー / マイクロアレイ / 形質転換 / QTL解析 / 根粒 / 分子育種 / enfl変異体 / TILLING |
Research Abstract |
マメ科植物は根粒菌と共生し、根に根粒を形成する。根粒は大気中の窒素を、植物が利用可能な窒素に固定してマメ科植物に供給しており(窒素固定)、共生窒素固定能を高める事でマメ科植物の収量増加および化学窒素肥料使用量の削減につながると考えられている。そこで、共生窒素固定能強化の分子メカニズムの解明することで、マメ科植物の収量を増加させる事を目標に研究を遂行した。 初めに、マメ科モデル植物であるミヤコグサを実験材料とし、ABA低感受性変異体enf1の単離と特徴解析を行なった。enf1変異体は生育に特に悪影響がなく窒素固定活性が上昇し、収量に正の影響をもたらす新規の変異体である。マイクロアレイ解析の結果、enf1変異体は、Thioredoxine like遺伝子(Trxl)の発現量が野生型MG20と比べて大きく減少しており、毛状根形質転換系を作成したところ、発現量と根粒数に負の相関があることが明らかになった。以上の結果から、Trx1遺伝子が窒素固定能強化に有用な遺伝子である可能性が示唆された。そして、Trx1遺伝子発現量を基準としたラフマッピングおよび、次世代ゲノムシーケンサーによるネガティブシーケンスを行い、原因遺伝子の候補を選抜する事が出来た。 次に、RI系統を利用した、共生窒素固定活性に関与するQTL解析を行い、窒素固定活性を制御するゲノム領域の探索を試みた。その結果、ミヤコグサの第4染色体上のTM0832マーカー近傍に、共生窒素固定活性と収量に影響を与えるゲノム領域を見出し、同領域に窒素固定活性制御遺伝子Sen1が存在する事が明らかになった。Sen1遺伝子はRI系統の親品種であるMG20とB129間で1アミノ酸の欠失が見られたことから、上記QTLの原因である可能性が示唆された。また、ダイズSen1遺伝子も種子重のQTLと同位置に存在し、さらに品種間でアミノ酸置換が存在していたことから、Sen1遺伝子は分子育種の有用なマーカーになりうると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
enf1変異体の分子メカニズムを解析し、原因遺伝子候補の絞り込みや、enf1変異体で中心的な役割を果たすと考えられるTrx1遺伝子を見いだす事が出来た。また、窒素固定に関するQTL解析を行い、ミヤコグサとダイズにおいて、Senl遺伝子が種子重のQTLに関わっている可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の計画通りenf1原因遺伝子の相補実験を継続して行うとともに、No38遺伝子の発現が大きく減少しているLORE1変異体を得ているので,この変異体について共生窒素固定能を中心とした性状解析をおこなう必要がある. また、ミヤコグサとダイズにおいて、品種間におけるSen1遺伝子の塩基配列の違いが確認されたので、この違いが窒素固定活性および収量に与える影響を、形質転換体作成等の方法を用いて検証する必要が有る。 そして、Enf1,Trx1,Sen1遺伝子を利用した、窒素固定活性が強化されたダイズ品種の作成を行い、圃場における有用性を評価する必要がある。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Additional cause for reduced JA-Ile in the root of a Lotus japonicus phyB mutant2012
Author(s)
Shigeyama T, Tominaga A, Arima S, Sakai T, Inada , Jikumaru , Kamiya , Uchiumi , Abe M, Hashiguchi M, Akashi R, Hirsch AM, and Suzuki A, Shigeyama T, Tominaga A, Arima S, Sakai T, Inada , Jikumaru , Kamiya , Uchiumi , Abe M, Hashiguchi M, Akashi R, Hirsch AM, and Suzuki A
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Journal Title
Plant Signal Behav.
Volume: 7
Issue: 7
Pages: 1-3
DOI
Related Report
Peer Reviewed
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[Journal Article] Lotus japonicus nodulation is photomorphogenetically controlled by sensing the red/far red (R/FR) ratio through jasmonic acid (JA) signaling2011
Author(s)
Suzuki A, Suriyagoda L, Shigeyama T, Tominaga A, Sasaki M, Hiratsuka Y, Yoshinaga A, Arima S, Agarie S, Sakai T, Inada S, Jikumaru Y, Kamiya Y, Uchiumi T, Abe M, Hashiguchi M, Akashi R, Sato S, Kaneko T, Tabata S, Hirsch AM
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
Volume: 108
Issue: 40
Pages: 16837-16842
DOI
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Peer Reviewed
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