Research Abstract |
研究目的として挙げていたΠ01集合の弱次数全体の次数構造Pwの稠密性の問題の解決には至らなかったが,筆者は,PwがΣ11集合の弱次数構造と密接な関係にあることを見出し,その結果を国際会議CTFMにおいて発表した.前年度より,木原貴行氏との共同研究として行ったeffective strong nullnessの研究は,夏から秋にかけて深め,もともとの集合論の概念であるstrong nullnessの特徴付けなどを含む結果を得,論文にまとめ学術誌へ投稿した.strong nullnessの特徴付けは,ランダムネスの研究で培われた証明技法と計算可能性の相対化を用いることで示され,大変興味深い研究である.同氏とは,effectiveΔOn関数を含む関数のクラスや(<ω,1,tt)-還元可能性を含む様々な還元可能性に関して,Weihrauch還元可能性に関連した研究として,やはり夏から秋にかけて共同研究を行い,得られた結果を論文とし,学術誌へ投稿した.5月中旬から6月中旬にかけての米国での滞在,6月中旬から7月上旬にかけての英国での滞在により,様々な知識を吸収し,新しい研究の方向性を見出すことができた.米国では,ランダム性のPropagationという性質に関して,Hudelson氏,Simpson教授,横山啓太氏と共同研究を行い,論文を作成し学術誌に投稿した.また,秋から春にかけて,彭寧々氏との共同研究として,あるランダム性を別のランダム性により定義できるか否かを問い,研究をした.この研究は,Liang Yu教授がMartin-Loefランダム性について行っていた研究をさらに一般的に行ったものである.結果は論文にまとめ,現在,学術誌に投稿中である.また,冬から春にかけて,堀畑佳宏氏との共同研究として,文字列の理論の研究を行った.この研究は,Grzegorczyk教授とZdanowski氏の提出した未解決問題の肯定的解を与えた.結果は論文にまとめ,学術誌に投稿中である.
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