Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Research Abstract |
これまで, 当研究室では蛍光可視化観察法によって二重鎖DNAのナノ構造内の流動現象を明らかにしてきた. しかしながら, 提案されている次世代DNAシーケンサなど応用的なバイオナノデバイスでは, ssDNA (Singl-stranded DNA)の使用が想定されるため, ssDNAの微小空間での挙動を解明することは必須である. ssDNAに対しては, 二重鎖DNAの観察時に行ったようなインターカレータによる蛍光染色が行えず, 直接可視化観察を行うことが困難である. 本研究では, 末端に蛍光分子を結合したssDNAの揺動現象の可視化観察を行った. 蛍光分子一分子レベルの微弱な発光を確実にとらえるためにTIRF (Total Internal Reflection Fluorescence)顕微鏡を用いた. TIRF顕微鏡を用いた場合, 観察される領域は基板表面近傍に限られるため, 基板表面がDNAの流動に与える影響を考慮する必要がある. 本研究では. 基板に用いたガラスの表面処理度合がssDNAの拡散に与える影響を確認するため, 処理に用いたKOHの濃度を1,5,10,15と変化させ, 24merssDNAの拡散現象を観察した. その結果, ガラス処理に用いたKOHの濃度が低い条件において, ssDNAの拡散係数は小さくなった. これは表面処理が十分に行われず, 表面との相互作用が顕著に存在しているためであると考えられる, また, 統計的に処理して得られた拡散係数からは, 揺動するDNA分子の個々の情報は平均化されてしまい分からない. そこで, 1フレームあたりのssDNAの変位分布を調べた. KOH濃度が高い条件では, 変位分布は比較的正規分布であるのに対し, 低い条件では正規分布から極端にずれた分布であった. これにより, 本実験系における観察では, ssDNAの壁面への吸着的現象と, バルクにおける拡散現象が混在していることが明らかにされた.
|