哺乳類大脳新皮質に見出した新規局所軸索投射パターンの領野間多様性とその機能的意義
Project/Area Number |
11J04272
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Neuroscience in general
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀬原 慧祐 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 体性感覚野 / 2/3層神経細胞 / 軸索投射 |
Research Abstract |
大脳皮質内に存在する神経回路構築の共通性および多様性の解明は、大脳皮質を機能的に理解する上で重要な研究課題である。従来の研究により、細胞構築などの多様性は明らかにされてきたが、皮質内局所回路における軸索構築の多様性という問題は、未だに解析が遅れている。本研究課題では、マウス一次体性感覚野(S1)に存在する皮質2/3層興奮性細胞由来軸索の持つ特徴的な局所軸索構築「バレルネット」に焦点を絞り、大脳皮質局所回路がもつ共通性および多様性の解析と、その機能的意義についての解析を行なった。 当該年度では、前年度に見出した「対側バレルネット」が、従来の「(同側)バレルネット」と同様な形成過程を持つか検討した。子宮内電気穿孔法を用いてマウスあるいはラットS1の2/3層神経細胞にGFPを導入し、生後1~2週目の脳を用いてGFP標識された細胞体とは対側のS1を観察したところ、同側S1と対側S1との間で、4層のGFP陽性軸索の形成過程に特徴的な共通点および相違点が存在する事を見出した。 即ち、「ネット」様軸索構築の形成タイミングが同側および対側のS1で共通であったのに対して、同側S1で「ネット」様軸索構築形成以前に観察される「非選択的軸索形成」の過程は対側S1には存在しなかった。さらに免疫組織化学を用いた解析から、同側皮質で特異的に観察された「非選択的軸索」の分布パターンが、放射グリアの分布によって規定されている可能性を見出した。 以上の結果は、げっ歯類S1における2/3層由来軸索構築の形成過程には、皮質内局所軸索と交連性軸索との間で特筆すべき共通点および相違点が存在することを示唆しており、大脳皮質内神経回路パターンの理解に寄与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
皮質内局所投射および交連性投射という、異なる種類の皮質内軸索投射が、形成過程において特徴的な共通点および相違点を持つこと実証しており、皮質内神経回路が持つ基盤的構築の理解に寄与していると考えられる。さらに研究成果は国際学術雑誌に受理されており、研究は順調に推移しているといえる。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)