初期宇宙におけるドメインウォールの崩壊による重力波放出についての研究
Project/Area Number |
11J04306
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋川 賢一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 宇宙論 / 重力波 / ドメインウォール / アクシオン / 素粒子論 / 暗黒物質 |
Research Abstract |
本年度は昨年度の研究の成果をもとに、具体的な素粒子模型に基づく初期宇宙のシナリオとしてアクシオン模型におけるドメインウォール問題に着目し、模型に対する観測的制限等を議論した。 昨年度の研究では、アクシオン模型において宇宙初期に形成されるドメインウォールが長寿命であった場合、ドメインウォールから放出される重力波シグナルは将来の実験で観測可能な程度の強いものとなり得る事を示したが、この研究では重力波スペクトルの詳細な形は計算しておらず、またウォールから放出されるアクシオン暗黒物質の残存量の評価に不定性が残っていた。そこで本年度は昨年度に開発した重力波スペクトルの計算手法およびアクシオンのスペクトルの計算手法を組み合わせ、長寿命のドメインウォールから放出される重力波およびアクシオン暗黒物質の残存量を数値シミュレーションによって詳細に評価した。計算結果と様々な観測的制限を照合すると、一般にドメインウォールが長寿命になるようなアクシオン模型ではアクシオン暗黒物質が生成されすぎてしまい、パラメターの不自然な微調整をしない限り宇宙論的に棄却されてしまうことが明らかになった。 一方、ドメインウォールが長寿命とならないようなシナリオではアクシオンは宇宙の暗黒物質の良い候補となり得る。近年、このようなアクシオンは現在の宇宙で熱化してボース=アインシュタイン凝縮を起こしており、様々な宇宙論的観測量に影響を及ぼすことが指摘されている。そこで、凝縮したアクシオンの時間発展を記述する計算手法を提案し、宇宙におけるアクシオン暗黒物質の熱化率を求めた。解析結果をもとに、宇宙初期においてアクシオンの自己相互作用が無視できなくなり、熱化が急速に進み得ることを示した。また、アクシオンと他の物質とは熱的接触を持たず、アクシオンの熱化は少なくとも観測される標準宇宙論パラメターには影響を及ぼさない事を示した。
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Report
(2 results)
Research Products
(17 results)