Project/Area Number |
11J04311
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
General fisheries
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
上野 大輔 琉球大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2013: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2012: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 寄生性カイアシ類 / 地球温暖化 / 有用魚種への水産被害 / 未記載種 / イカリムシモドキ / 琉球列島 / ウオジラミ科 / ペンネラ科 / 水産被害 / Lernaeenicus ramosus / 有害寄生性カイアシ類 / 熱帯アジア / 新属新種 / ツブムシ科 / ホソエラジラミ科 |
Research Abstract |
これまで展開してきた琉球列島での有害寄生性カイアシ類調査で得られた100種近いカイアシ類の同定・分類作業を中心に研究を進めたほか、水産魚種ハタ類における琉球列島全域での寄生性カイアシ類相調査結果の集計を中心に研究を進めた。 宿主魚に特に大きな病的影響を与えるペンネラ科の1属からは4未記載種が発見された。琉球列島全域におけるハタ科魚類寄生性カイアシ類調査からは、地域ごとに寄生虫相や寄生状況に明確な違いがあることがわかってきた。近年、日本列島周辺にも多く出現し、大型ハタ類の養殖現場で被害を出しているイカリムシモドキ類の1種は、琉球列島全域において確認されたが、沖縄島から奄美諸島の黒潮流域において、特に多くの寄生が確認された。本種の成体は、ハタ科魚類の他色々な魚に寄生し宿主特異性は低いと考えられてきた。幼体期には限られたハタ類のみに寄生し、ある程度の宿主特異性を示すことがわかった。 シンガポール、パラオ周辺海域および紅海で寄生性カイアシ類相調査を行った。得られた寄生性カイアシ類について、種のリストをまとめ、必要に応じて記載を行っている。得られたカイアシ類には病害性が高い種も多く含まれ、今後分布を拡大した場合には大規模水産被害を生じさせる恐れがある。 上記の研究は昨年度実際に行った研究内容であり、学術論文として取りまとめている最中である。また、採用2年目に得られた成果を取りまとめた結果の一部も、論文として出版された他、昨年6月に南アフリカ共和国で開催された国際学術ワークショップSecond International Workshop on Symbiotic Copepodaにおいて発表した。また、国内外の研究者から種の判別などを依頼された寄生性カイアシ類や、実施してきた調査の過程で副産物的に得られた動物について、他研究者らと行った研究内容についても一部出版済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究第一のハードルは、今まさに北進している、あるいは今後北進する熱帯性寄生カイアシ類を見っけ出すことであるが、得られる寄生性カイアシ類の数が予想以上に多いのに対し、過去の分布等の知見が非常に乏しいことから、北進しているあるいは今後しうるとみられる種の特定にかかる時間が予想以上にかかっている。そのため、昨年度は出版した文献の数などでいえば、一昨年度には及んでいない。ただし、膨大なデータが集積しつつあるため、今後これらを一つ一つ精査することで、本年度以降大きな成果を発表できることは疑いない。よって昨年度の評価としては②とした。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に続き、琉球列島を含む熱帯域における寄生性カイアシ類の多様性が、想像以上に高いということが最大の誤算である。野外調査をおこなった分だけ、未知の種類の発見につながるのも相変わらずであり、有害性が非常に高い種も多く含まれていた。本プロジェクトは昨年度を以て終了したが、今後はこれまで蓄積されたデータの解析を中心に、有害性の高い種一つ一つについて地道に生態解明を行っていくことが、目的の最終達成への近道となると考えている。
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