Project/Area Number |
11J05128
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Structural/Functional materials
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小宮山 翔子 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | コーティング / Ti-Mo-N / スパッタリング / 摩擦摩耗特性 / 熱力学計算 / 相分離 |
Research Abstract |
TiN(窒化チタン)は特性のバランスの取れた硬質膜として、切削工具や医療材料、鋳型の離型材など、様々な分野へ利用されているが、摩擦係数が高く、耐摩耗性に課題を残している。本研究では摩擦摩耗特性向上の観点から、Moを添加したTi-Mo-N膜に着目し、その摩耗機構の解明と、(Ti, Mo)酸窒化物の柱状晶形マルチフェイズコーティング膜の創製を試みた。 RFマグネトロンスパッタ装置を使用し、Ti_<50>Mo_<50>合金ターゲットを用いた反応性スパッタにより窒素濃度の異なるTi-Mo-N膜を成膜した。炭素鋼(S45C)を相手材とした摩耗試験後の膜および相手材の表面SEM観察および断面TEM観察より、高窒素濃度のTi-Mo-N膜の方が摩耗試験中に膜由来の酸化物(Mo酸化物)が形成され易いために焼付きが防がれ、低窒素濃度の膜に比して優れた耐摩耗・耐溶着性を示すことが分った。高窒素濃度Ti-Mo-N膜の方がMoが酸化しやすいことはThermo-Calcを用いた熱力学計算からも確かめられた。また、Ti_<25>Mo_<75>合金ターゲットを用いた反応性スパッタにより作製したTi-Mo-N膜において、700℃熱処理によってTi窒化物とMo窒化物に相分離し、5~6GPaもの硬度上昇がおこり、約34GPaの高硬度が得られた。窒化物同士の相分離はThermo-Calcによる計算状態図からも示唆された。さらに、熱処理後のTi-Mo-N膜は成膜ままと同様に0.4程度の低い摩擦係数を示した。 本研究において窒素濃度制御というコーティングの摩擦摩耗特性向上を目指した材料設計を提案し、組織制御というコーティングの新たな特性向上手法を提案した。さらに窒化物同士から成る二相分離が生じることを見出し、高硬度(約34GPa)と低摩擦係数(0.4)を併せ持つ新規コーティング材料を作製することが出来た。
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