粘膜免疫誘導組織内共生細菌と宿主粘膜免疫系との相互作用機構の解明
Project/Area Number |
11J05262
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Immunology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 納央子 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | Alcaligenes / 自然リンパ球 / IL-22 / クローン病 / C型肝炎 / 粘膜免疫誘導組織内共生細菌 / ワクチン |
Research Abstract |
平成24年度はペンシルバニア大学のDavid Artis先生との共同研究により、腸管での生体防御や炎症、組織修復において重要な役割を担うことが報告されているインターロイキン-22(IL-22)を産生する自然リンパ球が、腸管関連リンパ組織であるバイエル板の組織内に共生するAlcaligenesの解剖・免疫学的な隔離に関与することや、自然リンパ球の消失に伴うAlcaligenesの全身組織への拡散は各種炎症反応を惹起すること、またヒトにおいてもAlcaligenesの全身組織への拡散と肝炎や炎症性腸疾患との関連を明らかにした。すなわち、自然リンパ球を消失させたマウスにおける共生細菌の局在性を解析した結果、通常マウスの末梢組織が無菌状態であるのに対し、自然リンパ球を消失させたマウスにおいては脾臓及び肝臓から培養可能な菌が検出された。その細菌種を同定した結果、腸管関連リンパ組織内に共生するAlcaligenesであることが判明し、これらが全身性の炎症反応を惹起していることが示された。このような共生細菌の末梢組織への拡散やそれ伴う全身炎症は、自然リンパ球もしくは組み換えIL-22をマウスに投与することで抑制されたことから、自然リンパ球がIL-22の産生を介して、共生細菌の全身への拡散とそれに伴う炎症反応を抑制していることが示唆された。一般に腸内細菌の末梢への拡散は、腸管上皮細胞間のタイトジャンクションが減弱し腸管の透過性が亢進することで、管腔内に局在する細菌が組織内に流入することが原因として考えられてきた。しかし自然リンパ球を消失させたマウスの腸管上皮細胞に透過性の異常は認められなかった。以上の結果から、自然リンパ球の消失による腸内細菌の拡散は、腸管の透過性亢進が原因ではなく、共生細菌の局在性維持機構が破綻したことにより、宿主の腸管関連リンパ組織内に共生していたAlcaligenesが末梢組織に拡散したと考えられる。さらに、共生細菌の末梢組織への拡散や全身における炎症反応はヒトの疾患においても認められることから、ヒトの疾患におけるAlcaligenesに対する免疫学的反応性について解析を行った結果、C型肝炎ウィルスの感染患者と小児期クローン病患者において、Alcaligenesに対する全身免疫応答が惹起されていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Alcaligenesの局在性維持機構や全身拡散による炎症発症に関する研究に関し、共著者として論文を掲載することができた。また自身が筆頭著者であるT細胞領域の形成機構に関しては現在Minor revisionに向けて実験中であり、粘膜免疫誘導組織内共生細菌と宿主粘膜免疫系との相互作用機構の解明に向けて、着実に研究を進めていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度中に作製したAlcaligenesのノトビオートマウスを用いた免疫学的解析により、IgAクラススイッチやDSS頻回投与による腸炎の発症におけるAlcaligenesの制御機構について解析すると共に、ヒトにおける炎症性腸疾患発症メカニズムの解明・新規予防法の開発を目指し、マウスから得られた結果とヒト検体を用いた解析結果の相関を比較していく。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Innate lymphoid cells promote anatomical containment of lymphoid-resident commensal bacteria2012
Author(s)
G. F. Sonnenberg, L. A. Monticelli, T. Alenghat, T. C. Fung, N. A. Huntnick, J. Kunisawa, N. Shibata, S. Grunberg, Rohini Shinha, A. M. Zahm, M. R. Tardif, T. Sathaliyawala, M. Kubota, D. L. Farber, R. G. Collman, A. Shaked, L. A. Fouser, D. B. Weiner, P. A. Tessier, J. R Friedman, H. Kiyono, F. D. Bushman, K. Mi Chang, and David Artis.
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Journal Title
Science
Volume: 336
Issue: 6086
Pages: 1321-1325
DOI
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Peer Reviewed
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