Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Research Abstract |
金属タンパク質は生体内において重要な役割を果たしており,第二配位圏に位置するアミノ酸側鎖と配位子の間に生じる非共有結合性の弱い相互作用が,タンパク質の機能発現に重要な働きを持つことが明らかになっている。本研究では,ブルー銅タンパク質の第二配位圏を様々なアミノ酸に置換して活性中心の電子状態への影響とタンパク質の機能の相関について系統的に研究することを目的としている. 本年度は、第二配位圏に芳香族アミノ酸であるフェニルアラニン(Phel2)を有しているオシダ由来プラストシアニン(オシダPc)のX線吸収スペクトルの解析を行い,活性中心の電子状態解析を行った.その結果,酸化型オシダPcのCuの電子状態は,pHの変化に関わらず同じ電子状態を保っていることが明らかになった.また,Cuとアキシアル位の配位子であるメチオニンの結合距離は,他の高等植物由来プラストシアニンに比べて異常に長い距離である3.9Aに得られた.この結合距離もpHによる変化がなかったことから,オシダPcは第二配位圏に位置しているPhel2と配位子の間の相互作用によってpH変化による活性中心構造の変化を少なく保てていることが明らかになった. また,脱窒菌内で電子伝達体として機能しているシュウドアズリンの野生型と第二配位圏のアミノ酸を様々なアミノ酸に置換したシュウドアズリン変異体のX線吸収スペクトルの解析を行ったところ,第二配位圏にPheを導入したシュウドアズリン変異体はオシダPcに似た電子状態を示し,Cuとエクアトリアル位の配位原子であるシステインチオラートの結合距離は2.14Aに現れた.一方,第二配位圏に脂肪族アミノ酸であるバリンを導入した変異体では,Cuとシステインチオラートの結合距離は2」7Aに得られた.このことから,第二配位圏のアミノ酸側鎖と配位子の間の弱い相互作用が,活性中心金属と配位原子の共有結合1生に大きな影響を与えていることが明らかとなった.
|