Project/Area Number |
11J05514
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅野 良輔 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 銀河進化 / 化学進化 / ダスト進化 / 星形成 |
Research Abstract |
本研究は、銀河中に存在する固体微粒子(以降ダスト)の種類や存在量、サイズ分布の進化によって、銀河進化にどのような影響を与えるかについて第一原理からモデル化し、銀河進化を解明することを目的としている。本年度は、昨年度末に完成した全宇宙年齢的銀河のダストサイズ分布進化モデルを基に、銀河の減光曲線進化モデルを完成させた。減光曲線とは、ダストによる減光量の波長依存性を示したものであり、観測量を補正するために必須な物理量である。前年度までの結果を拡張するにあたり、各ダスト種の物性を考慮した。これはダスト粒子の種類によって減光量が異なるためである。その結果、銀河形成初期には、平坦な減光曲線であるが、その後、ダスト同士の衝突による破砕プロセス(シャッタリング)により小さいダストが増加し、極めて急な曲線になる。また、この際に2175Åバンプと呼ばれる部分が非常に大きくなることも分かった。その後、ダスト同士の衝突による合体プロセス(コアギュレーション)によって小さいダストが減少することによって、減光曲線が平坦になっていく。また、今回の進化モデルを用いて、銀河系の減光曲線の再現を試みた。その結果、再現にはコアギュレーションが現在考えられているものよりも強く効く必要があることが分かった。なお、先行研究において、分子雲などの冷たく密度の高い領城では、このような強いコアギュレーションが起こる可能性が観測的に示唆されている。本ダストモデルの論文はすでにMonthly Notices of the Royal Astronomical Societyに受理されている。 また、遠方に存在する赤外線で極めて明るいクェーサー母銀河は平坦な曲線であることが示唆されており、我々のモデルはこれを強く示唆している。現在、高赤方偏移銀河に特化した減光曲線進化を研究しており、この研究内容は初期の銀河進化の解明に大きく影響を与えると考えられる。さらに、Herschelを用いて赤方偏移1以上の銀河の減光曲線を導出する研究が動いており、私の今年度の結果は非常にタイムリーな議論を提供できる結果となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画と並行して行っていた銀河の減光曲線進化モデルの構築が終わったが、計画していた銀河のスペクトル進化モデルを構築できなかった。これは、進めていく中で、先に減光曲線進化を考慮する必要があると判断したためである。そのため、計画から少々遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで多少遅れは出ているが、銀河のスペクトル進化モデルの完成を目指す。現在は銀河形成初期の減光曲線進化モデルを構築しているが、研究に厚みが出ると考え、計画に加えた。この研究はすでに論文化を始めているため、計画に大きな支障はでないと考える。スペクトル進化モデルに関しては、すでにTakeuchi et al. (2003, 2005)を参考に構築を始めている。また、構築に当たり、銀河中の星やダストの空間情報が必要であるが、これはメガグレインモデル(Inoue 2006)を考慮している。また、さらに星間空間の相変化にも注目する。これは星間空間の物理量から空間構造の情報を得ることができるためである(Inoue 2005)。この研究を進めるにあたり、まずKoyama & Inutsuka (2000)を参考に星間空間の相変化をモデル化する。
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