Project/Area Number |
11J06291
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Virology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅沼 里実 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 成人T細胞白血病 / Helios / 選択的スプライシング / S1Pパスウェイ / 成人T細胞白血病(ATL) / HTLV-1ウイルス / 転写因子 / 分子生物学 |
Research Abstract |
本研究では、HTLV-1ウイルスの感染により発症する難治性疾患の成人T細胞白血病(ATL)発症の分子メカニズム解明のため、転写因子Heliosに注目して研究を行っている。これまでにATLの腫瘍細胞特異的に発現するHeliosの短いスプライシングバリアント(ATL型Helios)を同定し、それがドミナントネガティブに機能してT細胞の生存や増殖に寄与することを明らかにした。本年度では、「研究遂行計画」に沿って、発現異常の上流と機能異常の下流解析をさらに進めた。 上流解析(スプライシング異常)については、mRNAだけでなくnon-coding RNAやゲノム側の転写やエピジェネティクスによる微調節まで視野を広げて検討したが、分子メカニズムの詳細を明らかにすることはできなかった。下流の機能的意義については、マイクロアレイ解析により、ATL型Heliosの発現によって発現量の変化する遺伝子群や活性化するシグナル伝達系を網羅的に探索し、同時に正常なHeliosとIkaros(同ファミリー因子)の下流のターゲット遺伝子についても検討した。その結果、Heliosの発現異常の下流としてSIPパスウェイの活性化、特にS1PR1受容体の発現量上昇を見出した。S1PパスウェイはT細胞の増殖やアポトーシス、運動性など様々な生理作用の制御に関わるシグナル伝達系であり、S1PR1の阻害剤FTY720によりATL関連T細胞株やATL型Heliosを導入したT細胞の増殖が抑制され、細胞死が強く誘導された。 本研究では、Heliosのゲノム異常とスプライシング異常の実態を明らかにし、その結果HeliosやIkarosの機能阻害、さらに下流でSIPパスウェイの活性化がATL細胞の生存や増殖性の促進に寄与していることを明らかにし、S1PR1阻害剤の新規治療薬としての可能性を見出すことができた。
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