海馬神経細胞の形態制御におけるRac1活性化因子Dock4の機能解析
Project/Area Number |
11J06767
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 修平 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 海馬神経細胞 / 樹状突起スパイン |
Research Abstract |
神経ネットワークは、その構成単位である神経細胞が軸索と樹状突起を伸ばし、シナプス接続を行うことで形成される。 この神経細胞の発達期における形態形成の異常は、神経発達障害や精神疾患と深く関わっており、神経細胞の形態形成のメカニズムを分子レベルで解明していくことは、これらの疾患発症の原因の究明、新しい治療法の確立に大きな意味を持つと考えられる。本研究ではRhoファミリーGタンパク質Rac1の活性化因子であるDock4に焦点を当て、神経細胞の形態形成における機能について調べていくことを目的としている。 私は昨年度までに、Dock4が海馬に強く発現しており、シナプス形成の行われる発達後期にその発現量が増加すること、まだシナプス後部構造体の樹状突起スパインに局在していることを発見した。培養神経細胞におけるshRNAを用いたノックダウン実験から、Dock4が正常なスパイン形成に必要であることも明らかにした。さらに、結合分子のスクリーニングから、アクチン骨格制御分子であるcortactinを同定し、Dock4とcortactinの結合もスパイン形成に重要であることを明らかにした。 本年度はさらに海馬神経細胞におけるDock4の分子機構の解明を進めた。その結果、Dock4はcortactinと結合することによってスパインへと局在化し、スパインの成熟や維持に関わっていることを明らかにした。さらにDock4は、これまでに結合分子として知られていたELMO2と複合体を形成することでRac1に対する機能的な活性化因子として働き、ELMO2-Dock4複合体としてスパイン形成を制御していることも明らかにした。以上の研究は、発達期の海馬神経細胞において、Rac1による細胞骨格制御を介した形態形成の新たな分子機構を解明したものである。近年DOCK4遺伝子が自閉症や統合失調症の感受性遺伝子である可能性が指摘されており、本研究はこれらの疾患の原因究明につながる可能性があると考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)