Project/Area Number |
11J06781
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大橋 純子 東京理科大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 宇宙物理 / インフレーション / 宇宙背景放射 |
Research Abstract |
ビッグバン宇宙論の諸問題を解決するため、1980年代初頭にインフレーションと呼ばれる宇宙初期の加速膨張のシナリオが提唱された。インフレーション中には、後に宇宙の大規模構造の種となる密度ゆらぎが生成され、理論的に予言されるスカラー型の揺らぎのスペクトルは、宇宙背景輻射(CMB)の温度揺らぎの観測とよく一致している。しかし、インフレーションを引き起こす起源は未だ明らかになっておらず、その機構を理論的に明らかにしようとする研究が世界的に活発に行われている。我々は、今年3月に発表されたPlanck衛星による新しい観測データを用いた統計解析により、一般相対論を拡張した様々な単一場インフレーション模型に対する観測的制限を議論した。 さらに、WMAPおよびPlanckの観測から、CMBの温度揺らぎのスペクトルに非等方性があることが示唆されている。その非等方性を説明するために、スカラー場がベクトル場と結合しているインフレーション模型が先行研究で提唱されており、その場合にはスペクトルがoblate型の異方性を持ち、温度揺らぎの非ガウス性が大きくなり得ることが知られている。それに対して我々は、インフラトン場が2-form場と結合している新しい模型での解析を行い、非等方インフレーションが起こることと、スペクトルがprolate型の異方性を持つことを示した。さらに揺らぎの非ガウス性は、局所型の運動量依存性の場合には抑制されるのに対し、等辺型のような他の場合には大きくなり得ることを明らかにした。我々が得た結果は現在の観測と整合的であり、今後の観測精度の向上及び理論研究の進展により、更なる現実的な理論模型の構築に貢献するものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Planck衛星の結果が2013年3月に発表された事を受け、研究に取り組んでいるいくつかの理論モデルに対して、新しいデータを取り入れた統合解析を合わせて行うことで、観測との整合性を明らかに出来た。また、国内および海外での研究発表や、他大学の研究者を交えた研究会やゼミへの参加で、人脈が広がった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで研究を行っていた非等方インフレーション模型について、4次元時空で場の運動方程式が2階微分に保たれる最も一般的な理論(ホルンデスキ理論)に適用し、幅広いインフレーション模型において応用できることを示したいと考えている。また、新たに公開されたBICEP2による重力波の結果及び、今年9月頃に発表されると期待されるPlanck衛生の重力波Bモードの結果を踏まえ、観測的に示唆されるインフレーション模型の選別や、新たな模型の構築について研究を進めて行きたい。
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