シアノバクテリアにおける夜間の概日時計出力系因子の解明と季節適応性の検討
Project/Area Number |
11J06970
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
植物分子生物・生理学
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細川 徳宗 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 概日時計 / シアノバクテリア / 出力系 / 夜間 / 転写 / 時計遺伝子 |
Research Abstract |
多くの生物は「概日時計」という内因性の時計を持ち,昼夜交替や季節変動などの環境変化を積極的に予測して効率的な生命活動を実現させている。光合成シアノバクテリア,Synechococcus elongatus PCC7942(以下S. elongatus)は概日時計を持つ最も単純な生物であり,概日時計の分子機構や生理機能を研究する上で非常に有用である。本研究では,[1]最もシンプルな概日時計のモデル生物シアノバクテリアで,全く未解明である夜間の概日時計システム解明を目指す。[2]そして,真核生物では達成困難であろう,昼夜環境下での細胞内の概日システムの織りなす動的ダイナミクスを理解する。[3]これを通して,高等動植物に見られる光周性などの高度な環境適応メカニズムの基本骨格の理解を深めることを目的とした。 本年度は,シアノバクテリアの夜間における概日時計出力系の研究をおこなうと共に,研究のまとめをおこなった。昨年度の成果として,シアノバクテリア概日時計出力系は「時計遺伝子の転写無しに機能することができる」という概日時計研究における新たな知見を得ることができ,米国アカデミー紀要(PNAS)に論文掲載を果たすことができたが,本年度も引き続き研究を発展させた。その結果「夜間の概日出力系を制御する中心振動子の状態が暗期開始時間によって変化する」事が明らかとなった。この結果も,概日時計研究における新知見である。以上の研究成果をまとめ,本年度に米国アカデミー紀要(PNAS)に論文投稿を果たすことができた(Hosokawa et al., リバイス投稿準備中)。 その他にも,千葉大学の華岡博士と共同で概日時計出力系の分子メカニズムの一部を明らかにし,科学誌J. Biol Chem.に共著で論文投稿を果たした。このように,研究成果を残すと共に当該分野の発展に寄与することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,前年度の研究を引き続き行うと共に研究のまとめを行ってきた。共著で論文掲載を果たした他,学会での研究発表も行い,本年度も研究成果を発信することができた。本年度の研究成果により,夜間の概日時計の振舞いの理解を進め,「環境適応メカニズムの基本骨格の理解」という目標に近づくことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
夜間での概日時計の状態を詳細に解析するためには,遺伝子発現を蛍光蛋白質を用いて観測する細胞観祭系の構築(レポーター株の作製)が有用であると考えられる。分子遺伝学的操作を用いて研究で使用できる株の作製を試みたが,この点に関しては思うような成果が得られなかった。Atsumiら(2012)によって本来暗期で増殖しないS.elongatesを,遺伝子改変によって暗期で増殖するようにした形質転換体の作製がおこなわれた。S.elongatesは夜間で代謝活性が劇的に低下し,そのために夜間での蛍光観察が困難となっている可能性が挙げられるため,Atsumiら(2012)が作製したような株を用いることで問題を解決できる可能性がある。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)