Project/Area Number |
11J07136
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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Research Institution | The University of Tokyo (2012) Hiroshima University (2011) |
Principal Investigator |
成川 達也 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 宇宙論 / 重力理論 / 銀河団 / 重力レンズ / 修正重力模型 / 銀河団ハロー / 非線形機構 / 重力の遷移 / 観測的制限 |
Research Abstract |
本研究の目的は「宇宙の加速膨張の起源となる物理機構の解明」であり、第一段階の目標「宇宙論スケールにおける重力理論の検証」に向けて本年度に実施した研究の成果を1.理論の定式化と2.観測的検証の2項目に分けて報告する。 1.局所領域における修正重力理論の定式化:宇宙の加速膨張の発見に動機づけられ、重力法則を長距離で修正する理論が活発に研究されている。太陽系では一般相対論が高精度で検証されているため、重力の修正は局所領域において遮蔽されなければならない。さまざまな修正重力理論が、スカラー・テンソル理論の観点から議論されている。近年、それらのすべてのモデルを包含した「Horndeski理論」が活発に研究されている。Horndeski理論の定式化は、具体的なモデルの予言を解析するのに応用することができ、新しいモデルの構築にも有益である。私は、局所領域においてHorndeski理論の定式化を行った。Horndeski理論において、スカラー場が遷移半径以下の短距離で遮蔽されるような、静的球対称解を導出した。最も一般的な場合(Horndeski理論)における静的球対称な問題の本質的構造は、5次方程式の解の中からスカラー場の遮蔽を実現する解を分類する問題としてとらえることができる。私はスカラー場が従う5次方程式の短距離における遮蔽解と長距離における漸近解を接続することによって、スカラー場のプロファイルの導出に成功した。これは、近傍銀河団のような系に対して適用することができる有益な定式化である。私はまた、Massive gravity理論の低エネルギー極限に対応するHorndeski理論の係数をみつけ出し、Massive gravity理論において解が滑らかに接続される条件を導いた。 2.観測的検証:銀河団は宇宙最大の自己重力束縛体であり、重力理論の検証に関して絶好の実験場である。銀河団レンズは、重力レンズ効果を用いて銀河団の重力ポテンシャル分布を測定する観測で、来年度から始動するSubaru/HyperSuprime-Camで数千個の銀河団についての銀河団レンズが観測される計画である。 私は銀河団レンズによるスカラー場の遮蔽機構を備えた修正重力理論のテストの可能性を探究した。1.局所領域における修正重力理論の定式化を近傍銀河団の重力レンズシグナルの予言に適用した。重力レンズの特徴的な効果は、スカラー場の2階微分が遮蔽領域への遷移半径で大きくなることによって、コンバージェンス(収束率)に特徴的シグナルが現れることである。このシグナルによって、修正重力理論を特徴づけるパラメータに観測的制限を与えることができる。私は特にMassive gravity理論において、銀河団レンズのシグナルについて議論をおこなった。
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