Project/Area Number |
11J07233
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩佐 淳司 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 自己組織化 / 球状錯体 / ピロール / パラジウム |
Research Abstract |
これまでに、二座の配位子とPd(II)イオンから、自己組織化性のM24L48球状錯体が構築されることを報告している。この72成分の球状錯体を、予備知見をなしに予測して合成することはほぼ不可能である。しかし、二種類の配位子を混合して錯形成を行うことで、この自己組織化において、配位子の折れ曲がり角度が生成物を決定する最も重要なパラメーターであり、"平均の"折れ曲がり角度が134°~149°の場合にM24L48球状錯体が生成することがわかっている。本研究では、この知見を用いることで、未知の配位子から予測してM24L48球状錯体を合成できると考えた。実際の化学構造でも134°~149°に折れ曲がった配位子からM24L48球状錯体が自己組織化すると予測し、新規配位子からM24L48球状錯体の合理的な合成を検討した。新規配位子の設計として、ピロール環を中心骨格として用いた。この設計には、窒素原子上の置換基および窒素原子の導入位置により、折れ曲がり角度を微調整できる利点がある。試行錯誤の結果、設計した3種類の配位子は、それぞれ147°、143°および135°に折れ曲がっており、M24L48球状錯体の合成が期待できることがわかった。そこで、それらの配位子を合成し、それぞれについてPd(II)イオンとの錯形成を行った。得られた生成物の構造を各種MR、質量分析およびX線結晶構造解析により決定した。その結果、3種類の配位子のいずれからも、定量的にM24L48球状錯体が得られたことがわかった。特に経験予測のしきい値(134°)を僅かに超えるだけの配位子からも、副生成物と混ざることなく、M24L48球状錯体のみが構築された。配位子の折れ曲がり角度に基づくシンプルな予測から、M24L48球状錯体を合成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
巨大球状錯体の合理的な合成法を見いだす事に成功した。このような巨大な単一分子を予測して合成する事は、これまで報告されておらず、極めて独創的な研究である。この成果はAngew.Chem.Int.Ed.誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果により、巨大球状錯体の合理的な合成法を見いだす事に成功している。この知見を活かして、機能性の巨大球状錯体の構築を検討する予定である。例えば、錯体内部を疎水性や親水性の空間にする事で、錯体内の孤立空間を物性場として利用することを計画している。また、反応性の官能基を密に錯体内に集積することで、反応場としての性質にも興味が持たれる。
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