新規抗癌剤Ecteinascidin 743の効率的合成法の開発
Project/Area Number |
11J07342
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Chemical pharmacy
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河岸 文希 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 有機合成化学 / 天然物合成 / アルカロイド / 有機合成 |
Research Abstract |
昨年度に合成経路を確立した環状アセタールを加熱条件に付したところ、脱水を伴うジアルデヒドの生成と生じたアルデヒドに対するフェノールへの環化反応が進行し、五環性骨格の構築に成功した。得られる化合物は不安定であったので、更に1potにてRed-A1を作用させアルデヒド、アミド、カーバメート部位を一挙に還元することに成功した。そしてシアン化物イオンを用いてイソキサゾリジンを開環することで鍵中間体へと導くことに成功した。そして先行研究の条件を参考にシステインユニットとの縮合、硫黄原子を含む10員環ラクトンの構築、下部テトライソキノリンユニットの導入を経て、Ecteinascidin 743の全合成を達成した。続いてHaliclonin Aの合成研究に着手した。芳香族化合物に対してBirch還元と続くアルキル化により多置換シクロヘキサンを調製し、閉環メタセシス反応を経ることで飽和17員環を有する二環性エノンへと導いた。そしてエノンに対して永田試薬を作用させたところ、シアン化物イオンの共役付加と生じたエノラートのプロトン化が共に架橋鎖を避ける面より進行し、シクロヘキサン上の連続する二つの不斉炭素を立体選択的に構築することに成功した。続くビシクロ[3.3.1]骨格の構築はシラン還元を適応すること円滑に進行することを見いだし、目的の三環性骨格の構築に成功した。ラクタム窒素原子のアルキル化は塩基性条件では達成できなかったものの、形式的な還元的アルキル化によりこの課題を克服することができた。すなわち先に合成したラクタムと対応するアルデヒドの混合物を酸性条件下加熱したところ脱水縮合が進行し対応するエナミドが得られた。そして得られたエナミドに対して室温にてトリエチルシランを作用させたところ目的の第三級アミドを良好な収率にて得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ecteinascidin 743の効率的な主骨格の構築法を確立することに成功し、見事その全合成を達成しました。更に新たな研究テーマにも果敢に挑戦し、短い期間でhaliclonin Aの三環性骨格の構築法の確立に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回合成法を確立した三環性化合物は、その側鎖の両末端に酸素官能基を有しており、それを足がかりとすることで更なる炭素鎖の伸長が可能であると考えている。 一方、側鎖の不飽和結合部位の伸長を段階的に行っていることから効率性に問題があるので、より直接的な増炭法の確立が必要だと思われる。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)