Project/Area Number |
11J07652
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biophysics
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
片山 耕大 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 生物物理 / 視物質 / 波長制御 / 赤外分光 / レチナールシッフ塩基 / 変異タンパク質 / 色覚 / 同位体標識試料 / 構造解析 / 内部結合水 / 培養細胞 |
Research Abstract |
本研究では霊長類赤・緑視物質の変異タンパク質を作製し、低温赤外分光法を適用することで、両色覚視物質の波長制御機構、光反応制御機構に関わる構造要因を明らかにすることが目的である。さらに、レチナール分子の振動バンドを帰属するために、レチナール分子の同位体標識試料を用いた色覚視物質の作製、高精度な分光測定も目的としている。本年度の研究成果の概要を以下に記述する。 1.霊長類の色覚視物質は試料調製の困難さから構造解析が全く行われていなかった現状下、私は培養細胞を用いて作製した霊長類の赤・緑感受性視物質に対する高精度の赤外分光測定による構造解析を行ってきた。これまでに2報の論文を発表しており、今回は部位特異的な変異タンパク質に対する実験に挑戦した。これにより、赤・緑視物質間で違いが観測されていた赤外振動バンドを帰属し、両者の構造の違いがどのアミノ酸や水分子に由来するのか明らかにできると期待する。すでに違いを生み出すアミノ酸の一つを特定することにも成功している。現在はさらなる変異実験を加えることで、より詳細に赤・緑視物質間の構造の違いを明らかにしていくと同時に、それらの構造の違いと波長制御との関連性について議論する。またこれまでの変異実験による研究成果は論文作成中である。 2.ロドプシン(明暗を認識する視覚タンパク質)と色覚視物質は、レチナールがリシン残基とプロトン化シッフ塩基を形成して結合しており、この正電荷を安定化させるために対イオン(グルタミン酸)が存在する。波長制御においてこのイオン対構造における相互作用の強さが重要と言われており、今回私はこの相互作用の強さを実験的に明らかにするためレチナール分子の同位体標識試料を用いたシッフ塩基の振動モードを帰属することに挑戦した。帰属に成功したシッフ塩基の振動モードは赤・緑視物質間でよく類似しており、レチナールと対イオンとの相互作用の強さは波長制御に関与しないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
5年前より盤長類色覚視物質の赤外分光解析による構造解析に取り組んできて、すでに赤・緑視物質間で構造の違いを反映した振動バンドが観測されている。しかし野生型の結果だけでは、それらの違いがどのアミノ酸や水分子に由来するのか特定できなかった。一方で部位特異的な変異タンパク質やレチナールの同位体標識試料に対する高精度なスペクトル測定に挑戦した本年度の研究成果は、色覚視物質の結晶構造がない現状下で、両色覚視物質間の構造の違いを生み出すアミノ酸や水分子の位置を特定し、構造基盤に立脚して波長制御機構を理解するといった目的に向かって着実に進展していると確信していることが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
過去の系統的な霊長類色覚視物質に対する変異実験を駆使した可視吸収分光測定の結果によると、波長制御にはレチナール近傍のアミノ酸が重要であると示唆されており,赤・緑視物質間での構造の違いもこれらのアミノ酸が関与していると考えられたため、本研究における変異部位もレチナール近傍に注力してきた。しかし各種変異実験を積み重ねった結果、両色覚視物質間の構造の違いがレチナールから数A離れた位置に存在することを見出した。従って、今後は離れた部位のアミノ酸の変異実験も加えることで、構造の違いと波長制御との関連性について明らかにすることを目指す。また、残された青視物質のタンパク質発現系の確立及び高精度な赤外分光測定にも挑戦する。これまで世界中で色覚視物質の構造解析が実現されていなかったことに、タンパク質調製の困難さが挙げられていたが、赤・緑視物質よりもさらに調製が困難とされる青視物質の構造解析をなんとか実現し、赤・緑・青という色覚視物質の波長制御メカニズムに関して、構造モデルを提示する。
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Report
(2 results)
Research Products
(16 results)