Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究は,ボトルネック通行権取引制度に基づき,1.道路階層(高速道路,都市内街路)に応じた動的交通制御方策を構築し,2.交通需要の不確実性にロバストなインプリメンテーション法の設計を目的としている.平成24年度は,1.として都市内街路に対するマクロな制御法の構築に取り組んだ.2.としては,先に挙げた都市内街路に対するマクロな制御法および高速道路ネットワークにおける通行権取引制度をインプリメントするオークション・メカニズムの設計に取り組んだ. 1.の成果は,都市内の交通状態を集計的に表現するMacroscopic Fundamental Diagram(MFD)に基づく通行権取引制度の構築である。具体的には,まず,MFDの存在を仮定した場合,通行権取引制度導入後の出発時刻選択均衡状態がシステム最適配分状態に一致することを明らかにした.続いて,MFDに基づく通行権取引制度をインプリメントするための動的なオークションを設計した.そして,利用者が通行権の購入を先延ばしするオプション価値を把握しているとき,このオークションは誘因整合的であり,システム最適配分状態を達成できることを証明した. 2.の成果は,高速道路ネットワークに対する経路列挙を必要としない通行権取引市場のオークション・メカニズムの構築である.具体的には,昨年度に設計した(経路列挙を必要とする)Day-to-dayオークション・メカニズムとcolumn generation法を組み合せた新たなメカニズムを提案した.この新たなメカニズムにおいては,各利用者が自らの効用を改善する経路を道路管理者に申告するため,(潜在的な利用者数および選好にも依存するが)1度に数百~数千の経路が生成されるため,効率的に必要な経路情報を得ることができる.実際,数値実験においても,数回~十数回の経路生成フェイズで達成される交通配分パターンがシステム最適配分状態近傍まで到達することが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,まず,通行権取引制度に基づく動的な交通制御方策を構築することが目的であるが,高速道路ネットワーク,都市内街路ネットワークへの動的制御法の構築は全て完了している.もう一つの目的である,動的制御法に対するインプリメンテーション法の設計に関しても全ての完了している.従って,当初の計画通りに研究が遂行できていると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で各々の制御法に対して設計したオークション・メカニズムは個人合理性(勝者の利得は必ず非負となる)を満たしている,従って,道路管理者は必ずしも交通需要情報を把握する必要はない(i.e.,制御パラメータとして交通需要情報は含まれない)という点で,交通需要の不確実性にロバストであると言える.ただし,本研究で構築したインプリメンテーション法の全体の枠組みは,オークション・メカニズムと進化的な容量調整を組み合せたハイブリッド・メカニズムになっており,交通需要が不確実に変動する状況において進化的な容量調整が一般的に最適なレベルに収束するか否かは今後の課題である.
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