バイオミネラリゼーションにおける生体高分子が関与した炭酸カルシウムの結晶成長機構
Project/Area Number |
11J07837
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Petrology/Mineralogy/Science of ore deposit
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥村 大河 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 方解石 / 炭酸カルシウム / 有機高分子 / バイオミネラル / アコヤガイ / タイラギ / イワガキ / STEMトモグラフィー / カルサイト / 生体高分子 / 稜柱層 / 透過型電子顕微鏡 / バイオミネラリゼーション |
Research Abstract |
生物が関与して形成される固体無機物質はバイオミネラルと呼ばれ、それを構成する結晶の結晶相や方位、形態、機械的性質などは高度に制御されている。この要因として、結晶内部に含有されている有機高分子が重要な役割を果たしていると考えられている。そこで私は軟体動物の貝殻を研究対象とし、結晶内に存在する有機高分子の機能を解明することを目指した。 本研究では、炭酸カルシウムの多形の一つである方解石で構成された貝殻に着目した。まず、アコヤガイ(Pinctada fucata)、タイラギ(Atrina pectinata)、イワガキ(Crassostrea nippona)のという三種の二枚貝貝殻の稜柱層を調べた。EDTA(エチレンジアミン四酢酸)で結晶を溶解し、残渣として残った有機高分子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると、アコヤガイとイワガキにはネットワーク状の、タイラギには細い繊維状の有機高分子が見られた。次に走査透過電子顕微鏡(STEM)により得られるZコントラスト像の電子線トモグラフィーを用いて、有機高分子の3次元分布を可視化した。その結果、やはりアコヤガイやイワガキではネットワーク状の有機高分子が存在していることが確かめられた。ネットワーク状の有機高分子は結晶に小角粒界を伴ったsub-grain構造を導入することが透過型電子顕微鏡(TEM)観察により分かり、結晶成長の物理的障害となっていることが考えられた。ネットワーク状の有機高分子がsub-grain構造を導入している様子は、二枚貝のみならず、巻貝のエゾアワビ(Haliotis discus hannai)やカモガイ(Collisella dorsuosa)の方解石結晶でも観察され、多種に渡って見られた。sub-grain構造は方解石結晶の機械的性質を向上させることが示唆されており、貝が生き残るための戦略としてこのように微細構造を制御していることが考えられた。またこのようなバイオミネラルにおける有機・無機相互作用は、新規の有機・無機複合ナノ材料の創製や、炭酸塩バイオミネラルの二酸化炭素固定による環境科学への応用が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(3 results)
Research Products
(20 results)