Project/Area Number |
11J08106
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Structural/Functional materials
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
村田 正行 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | ナノワイヤー / 量子閉じ込め効果 / 熱電変換材料 / 集束イオンビーム / ホール係数測定 / ビスマスナノワイヤー / 量子効果 / 高効率熱電変換材料 / 4端子抵抗測定 / Shubnikov-de Haas振動 |
Research Abstract |
移動度の変化をホール係数測定により実験的に評価するために、集束イオンビーム加工を利用したホール測定用電極の作製を行った。サンプルの直径が非常に細い点とビスマスが大気中で酸化しやすいという点から、ナノワイヤー側面に局所的な電極を取り付ける事は非常に多くの困難を要する。そのため、ビスマスナノワイヤーにおけるホール測定の結果は、これまで報告されていなかった。そこで、本研究では研磨と集束イオンビーム加工を利用して、石英ガラス製の鋳型中に配置されたビスマスナノワイヤーに対してナノスケールのホール測定用の局所電極を作製した。このように作製した直径700nmのビスマスナノワイヤーを利用してホール係数の測定に成功し、キャリア移動度の評価を行った。ナノワイヤーにおけるホール係数の測定は世界で4例目、ビスマスナノワイヤーに関しては初めての結果となった。 また、直径160nmのビスマスナノワイヤーのゼーベック係数の温度依存性を測定したところ、これまでの直径200nm以上のサンプルでは現れなかったゼーベック係数の上昇が観察された。これまでの研究では、ワイヤー直径を小さくすることによりキャリアの平均自由行程が制限され、キャリア移動度が減少するために、ゼーベック係数は徐々に低下する傾向があった。しかし、直径160nmのビスマスナノワイヤーの測定結果は、予想される温度依存性よりも上昇し、50K程度で極値を持つような温度依存性が得られた。理論計算によると直径200nm以下ではバンド構造が変化することにより、ゼーベック係数が変化すると予想されている。このようにビスマスナノワイヤーにおけるゼーベック係数の上昇を世界で初めて観測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界で初となる直径700nmのビスマスナノワイヤーのホール係数測定に成功し、キャリア移動度の評価まで行った。また、直径160nmのビスマスナノワイヤーの開発と測定を行い、ゼーベック係数が上昇する結果が得られている。このように、当初の目標であったナノワイヤー中のキャリア移動度評価と、ナノワイヤー化によるゼーベック係数の上昇を達成することが出来たので、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、直径160nmBiナノワイヤーを利用して世界で初めて熱起電力の向上が示唆される結果が得られた。しかしながら、理論的に予想されている50nm以下という直径に比べて大きく、その原因がわかっていないというのが現状である。そこで、今後はこの結果を詳細に検証するためにより小さい直径でのゼーベック係数の測定や、極低温・強磁場を利用したシュブニコフ・ド・バース振動・ネルンスト起電力の測定によるフェルミ面の解析等を進めていく。そして、ナノワイヤー構造を利用したエネルギー変換効率の大幅な向上を目指す。
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