Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究は, 研究代表者らが最近開発した鉄触媒による芳香族炭素-水素結合の切断を経る直接アリール化反応の機構に関する実験および理論研究, また得られた高活性の要因を一般化することによる, 鉄触媒を用いた新規炭素-水素結合直接変換反応の開発を目的としている, 本年度は, 鉄触媒を用いた芳香族炭素-水素結合の直接アリル化, アルキル化, アミノ化反応の開発, および鉄を量論量用いた様々な求電子剤の導入に成功した. 鉄触媒前駆体, 配位子, 有機金属反応剤などの反応条件を精査した結果, アリルフェニルエーテルを用いたレフェニルピラゾール類およびN-(キノリン-8-イル)ベンズアミド類の直接アリル化反応を開発した. さらに, 求電子剤としてハロゲン化アルキル, またはN-クロロアミンを用いることで, 鉄触媒を用いた炭素-水素結合の直接アルキル化反応およびアミノ化反応を実現した. また, N-(キノリン-8-イル)ベンズアミドと量論量の鉄, 配位子を用いて調製したメタラサイクル中間体が70°Cにおいて安定に存在すること, また求電子剤や不飽和結合と反応させることで, アルキル基, アルキニル基, ハーフルオロアリール基, プロモ基, といった種々の官能基を導入できることを見出した. 本研究で開発した反応は, 資源豊富で環境に優しい鉄触媒を用いる点で社会的に意義深いだけでなく, 配向基近傍の炭素-水素結合切断により生成した鉄中間体を求電子剤により捕捉し, 触媒反応へ展開するという鉄の未知の反応性を見出した点で基礎学術分野の観点からも重要である. 想定されるいくつかの鉄活性種をモデルとした理論計算により, 炭素-水素結合切断がσ結合メタセシス機構で進行するという知見も得ている. これらの知見をもとに, 反応中間体の観測・単離, より詳細な反応機構の解明を行うことで, 鉄触媒による炭素-水素結合活性化を利用したサステイナブル合成法の開発が加速していくことが期待される.
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