オスマン朝イスタンブルの遊牧王権的宮殿群と都市空間形成に関する研究
Project/Area Number |
11J08433
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Architectural history/design
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川本 智史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2) (10748669)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | オスマン朝 / 宮殿 / エディルネ / イスタンブル |
Research Abstract |
平成24年度は前半に今までの成果を海外学会で発表し、後半には博士論文の執筆に取り組んだ。 海外学会発表のひとつ目として、6月初旬にはEAHN(European Architectural History Network)の大会において、エディルネ旧宮殿とそのビザンツ建築からの影響について発表を行った。 続く6月下旬には、CIEPO(Comite International des Etudes Pre-Ottomanes et Ottomanes)の大会において、オスマン朝以前のアナトリア地方ではモスクに中庭が付属するのは極めて稀なことであったが、15世紀半ば以降オスマン朝スルタンによって寄進された大モスクには中庭が付属して後にはモスク建築の普遍的な要素となった。本発表ではスルタンの帯剣儀式が行われる場としてのモスクの中庭に着目し、エディルネ旧宮殿で成立した儀礼用中庭がモスク建築にも波及して、スルタンの儀礼空間として中庭が設置されるようになったと論じた。 またll月には中東研究の中心的学会であるMESA(Middle East Studies Association)の大会において、16世紀イスタンブルの街区形成の過程に関する発表を行った。 これらの発表内容とその他の研究成果を合わせて、2013年1月に博士論文「前期オスマン朝の宮殿建築の展開に関する研究:儀礼空間の形成を中心に」を東京大学に提出した。本論文は、14~16世紀のオスマン朝の宮殿群造営の過程を考察の対象とし、大きく二部構成とした。第一に前オスマン期を含めた宮殿空間の変遷、とりわけ儀礼空間の確立過程が検討される。第二にこれを手掛かりとしてイスタンブルにおける宮殿群の建設とその機能の分析を行い、前近代オスマン朝宮殿群の全体像の提示を行った。 その結果、従来のトプカプ宮殿を中心とした前近代オスマン朝の宮殿像に一定の修正が必要とされることが明らかとなった。特に現在に至るまで根強いメフメト2世の「独創性」こそがトプカプ宮殿の空間を生んだとする見解は、エディルネ旧宮殿こそが儀礼用中庭を有する原初の宮殿であり、トプカプ宮殿はそのイスタンブルにおける後継の宮殿であったことが明らかとなったため、修正が必要とされる。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)