河川水枯渇時における河床間隙域の生態学的機能と魚類への進化的影響
Project/Area Number |
11J09280
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
川西 亮太 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 河床間隙域 / 避難場所 / 河川水の枯渇 / 魚類 / 攪乱 / 間欠河川 / 局所適応 / ヒナイシドジョウ / 撹乱 |
Research Abstract |
本研究では魚類(ヒナイシドジョウ)を対象に、(1)河川水枯渇時の避難場所としてカギとなる河床間隙域の環境要因の特定とヒナイシドジョウの個体群維持に対する河床間隙域の重要性の検証、および(2)避難場所利用によるヒナイシドジョウの形質への進化的影響を解明することを目的としている。各目的について、本年度は以下の調査を行った。 目的(1):愛媛県重信川の間欠流区間において河川水の枯渇時期前後の生息密度の変化と間隙域の環境要因との関係性を調査した。枯渇時期の後に生息密度が低下した6地点と低下しなかった3地点とで、間隙域の環境要因(溶存酸素、細粒土砂量など)を比較した結果、生息密度が低下した地点では間隙域の細粒土砂が有意に多かった。細粒土砂の堆積は礫間隙を目詰まりさせる直接的な要因であり、間隙域への潜行のし易さが避難場所利用に最も重要であることが示された。 目的(2):ヒナイシドジョウ個体群間の遺伝的分化をマイクロサテライトDNA分析によって調べたところ、重信川流域内でも分化が生じていることが判明した。特に各上流域の個体群は遺伝的多様性が低く、治山・砂防ダムの設置などにより遺伝的交流が制限されていることが示唆された。体サイズと形態形質(体高、体幅、ヒゲの長さ、眼径など)を個体群間で比較したところ、間欠流区間のある重信川中・下流域では特異的に体サイズが小さかった。さらに、間欠流区間の個体は腹鰭や眼径が有意に小さく、ヒゲが長かった。これらの形質の変異は、狭く、暗い河床間隙域を生息空間として利用する上で、移動性や摂餌効率を高めると考えられる。 以上より、河床間隙域の避難場所機能には礫間隙が豊富に維持されていることが重要であり、撹乱頻度が増加することによって河床間隙域の利用頻度が増し、間隙域での生活に適応的な形態を持つ個体が集団中に優占している可能性が示された。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)