Project/Area Number |
11J09592
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Functional materials/Devices
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 耕平 東京大学, 放射光連携研究機構, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2013: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2012: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2011: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 固体発光素子 / 窒化アルミニウム / 酸化亜鉛 / 窒化物半導体 |
Research Abstract |
ZnO/AINヘテロ界面の実現には、界面反応を抑制するためにパルス励起堆積法による低温成長技術が必要不可欠である。しかしながら、このような低温成長では急峻なヘテロ界面の作製は可能であるものの、成長した窒化物薄膜の残留不純物濃度は高く、またアンチサイトといった点欠陥の混入によりデバイスクオリティの薄膜の作製が難しかつた。このような点欠陥の生成エネルギーは、薄膜成長中の表面ストイキオメトリーに依存すること知られているが、パルス励起堆積法を用いた窒化物薄膜成長では詳細な検討が行われてこなかった。そこで本年度では、ZnO/AINヘテロ界面を利用した発光素子実現に向けて、パルス励起堆積法による低温成長を利用したデバイスクオリティの窒化物半導体薄膜作製可能性について検討を行った。具体的には、ZnO基板上に急峻なヘテロ界面を有する窒化物薄膜の作製が可能である500℃以下に、発光素子の作製プロセス温度を低減することを目的とした。 本研究では初期検討として、成長温度480℃においてGaN基板上にIII族およびN原料供給比を変えてGaN薄膜成長を行い、構造特性および電気特性の評価を行つた。III族/N原料供給比を精密に制御し、ストイキオメトリックな条件で成長を行うことで点欠陥の混入を抑制し、低温成長においても残留電子濃度lo^<18>cm^<-3>前半にまで低減可能であることを見いだした。また、そのような条件でMgドーピングを行ったところ、GaN薄膜は明瞭なp型伝導性を示し、ホール濃度は3.0×10^<17>cm^<-3>、移動度は3.1cm^2V^<-2>s^<-1>であつた。さらに本結果をもとに、窒化物発光ダイオードの試作を行つたところ、作製した素子は明瞭な整流性を示した。また順バイアスをかけ電流注入を行ったところ、強いエレクトロルミネッセンスが得られ、LED動作を実現した。 本結果は、従来、低温成長ではデバイスクオリティの窒化物半導体薄膜の作製は難しいとされてきた既成概念を覆し、精密なストイキオメトリー制御を行うことで、480℃という低温においても窒化物半導体薄膜のp型およびn型伝導性制御、LED素子の作製が可能であることを示した世界で初めての例である。ZnO基板上に良好なヘテロ界面を有する窒化物薄膜を成長するためにはパルス励起堆積法の低温成長技術は必要不可欠であり、ZnO/AlNヘテロ界面を利用した窒化物発光素子の実現にとって、本成果はキーテクノロジーとなると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度では、ZnO/AINヘテロ界面の形成に必要不可欠であるパルス励起堆積法の低温成長技術を用いて、実際にデバイスクオリティの窒化物薄膜の作製が可能であることを見いだした。作製した発光ダイオードは明瞭な整流性を示し、電流注入を行つたところ強いエレクトロルミネッセンスが得られた。本結果は、ZnO基板上に窒化物発光素子を作製する上でのキーテクノロジーであり、ZnO/AINヘテロ界面を利用した深紫外発光素子の実現が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
パルス励起堆積法の窒化物薄膜低温成長技術を用いて、ZnO基板上に発光素子の作製を行う。特に、ZnO/AINヘテロ界面の作製およびその構造・電気特性の評価を通してlp型ZnOからn型AINへのホール注入の実現を目指す。また新たな展開として、本研究で開発した窒化物薄膜低温成長技術により、これまで耐熱性の観点から窒化物成長用基板として用いられてこなかったガラス基板等への発光素子作製が期待できる。ガラスのような安価で大面積な基板上に窒化物発光素子の作製を実現すれば、大面積発光素子の実現や素子の低コスト化が期待され、産業界に与えるインパクトが大きいと考えられる。
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