Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
日本には概ね1万人の大腿切断者が存在しており,その多くが階段を歩けない点に不自由を感じている.そのため,大腿切断者は健常者とは異なる身体技法によって階段をゆっくりと昇る.結果として,昇段が可能にはなるものの,見た目の不自然さから,こうした動きは切断者が劣等感を抱くきっかけになっている.また,大腿切断者が両脚交互の昇段を行うためには,バッテリー駆動型の動力義足の開発がある.しかしながら,こうした最新の義足は既存の製品に比べると価格・重量・性能の面で課題が山積している.そこで本研究の目的は,片側大腿切断者における階段上昇能力改善・再獲得を目的としたリハビリテーション法開発ならびに義足制作にとって有用な情報を提供することである. 本年度は以前に取得した三次元動作解析データをもとに,大腿義足ユーザーが階段上昇時のつまずき回避動作について検証を行った.被験者は両脚で交互に階段を昇れる大腿切断者1名とし,データは実験室内に設置した階段を利用し,一足一段法による昇段を行わせた際の全身を毎秒60コマで三次元動作解析装置によって定量化した.その結果,この大腿切断者は,遊脚初期に義足肢を一度後方へと振り上げてから股関節を屈曲させ,義足肢のつまずきを防いでいることが明らかとなった.また,義足肢の巧みな制御に加え,健側肢の足関節を底屈位に保持していることが確認された.こうした両脚間の協調は,自ら膝継手を屈曲させることができない大腿切断者にとって昇段時のクリアランスを獲得するのに有効な方略となりうる(Prosthetics and Orthotics Internationalに投稿中).加えて,上記の動きを元にした動画を作成し,他の大腿義足ユーザーに対し視覚フィードバックを用いた歩行訓練を実施し,両脚交互での昇段を行えることが確認した。しかしながら,熟練した切断者のようなスムースな交互昇段の実現や,日常生活への応用に関してはまだ課題があるため,今後も継続した取り組みが必要であると考えている.
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