Project/Area Number |
11J11076
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沈 慧蓮 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | NMDA受容体 / タンパク質合成 / c-Fos / 扁桃体基底外側核 / 内側前頭前皮質 / 不安障害 / 恐怖 / 心的外傷後ストレス障害 |
Research Abstract |
不安障害は、様々な恐怖に対する不安によって引き起こされる精神疾患である心的外傷後ストレス障害を初めとした不安障害治療には条件づけ反応の消失を利用した暴露療法が適用されるが、様々な刺激によって恐怖反応が復元してしまうことが治療を妨げる要因の一つである。恐怖記憶に関する過去の研究のほとんど全ては、恐怖の誘発および消失に集中しており、恐怖の復元に関する薬理学的、神経科学的な解析は行われてきてなかった。そこで本研究では、恐怖反応の復元に関わる神経機構の解明を目指した。 ある実験環境(環境A)でマウスに弱い電気ショックを与えることで、環境Aとショックの関係を学習させた。翌日、環境Aに40分間暴露することで、条件づけ反応を消失させた。消失を確認した後、異なる実験環境(環境B)でさらに弱い電気ショックを与えた。翌日、環境Aに暴露すると、マウスは恐怖反応を示した(恐怖反応の復元)。復元の分子メカニズムを明らかにするため、環境Bで電気ショックを与える30分前に、タンパク質合成阻害薬アニソマイシン(150mg/kg)またはNMDA受容体阻害薬MK-801(1.0mg/kg)を腹腔内投与した。1日後にマウスを環境Aに暴露したところ、両投与群ともすくみ反応時間は有意に短かった。さらに、復元する際に活性化する神経回路を特定するため、環境Bでの電気ショック90分後に脳を摘出し、免疫組織化学染色によってc-Fosを検出した。扁桃体および内側前頭前皮質において、c-Fos発現細胞数の上昇が認められた。 本研究により、恐怖反応の復元にNMDA受容体が関与すること、恐怖反応の復元には固定化過程が存在し、新規タンパク質合成が関わること、恐怖の復元を誘導する弱いショックによって扁桃体および内側前頭前皮質が活性化することを明らかにした。さらに、恐怖反応の復元に、内側前頭前皮質における新規タンパク質合成が必要であることも明らかにした。本研究を端緒として恐怖の復元機構が解明され、不安障害の再発防止を目指した創薬ターゲットの発見や、より良い治療法の開発に結びつくことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新たな実験系を立ち上げまして、成功させた。博士論文発表も成功させた。研究成果を日本薬理学会関東部会で発表し、Young Investigator's Award(優秀発表賞)を受賞した。今回の研究課題と関わる研究成果を米国神経学会および日本神経科学大会にて発表を行い、海外の有名な教授や、医師から高く評価していただいた。論文を執筆し、国際権威ある雑誌に投稿し、アイデアの斬新および高い研究意義で高く評価していただき、現在受理をいただいている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、恐怖反応の自発的な回復も検討する予定で、恐怖反応の復元と自発的な回復の相違点を明らかにする。
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