Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2012: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2011: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
|
Research Abstract |
海馬CA1野錐体細胞の樹状突起には, CA3野からのシナプス入力が投射している. また, いわゆる記憶は神経細胞同士のつながり, すなわちシナプスの結合強度として表現されていると考えられている. 神経細胞が, 特定のパターンの入力をある出力パターンに変化する入出力装置とみなせるのならば, ある神経細胞のもつ入出力関係は, 樹状突起に数多く存在するシナプスそれぞれの結合強度の分布として表現されている可能性がある. この樹状突起に沿ったシナプス結合強度分布を調節する要素として, シナプス可塑性の成立に深く関与する逆伝搬スパイク(bAP)の伝搬が調節される可能性を検証した. いくつかの先行研究で, シナプス可塑性は興奮膜特性を変化させるという報告があり, bAPの広がりもまた影響を受けると考えられた. そこで膜電位感受性色素を用いた光イメージングを行い, CA1野樹状突起における逆伝搬スパイクの空間的な広がりが, シナプス可塑性誘導前後でどのように変化するか計測した. その結果として, 以下の点が明らかとなった. 1. CA1樹状突起に長期増強を誘導するとbAPの振幅は増大し, 逆に長期抑圧を誘導するとbAPの振幅は減少した. これらの間には強い正の相関が見られた. 2. シナプス可塑性の誘導に不可欠なNMDA受容体の活性をブロックすると, シナプス可塑性の消失とともにbAPの調節も消失した. このことはbAPの調節はシナプス可塑性の誘導に伴って起こることを示している. 以上の結果は, シナプス可塑性によって樹状突起膜特性が変化し, それによってbAPの振幅・空間的な広がりが影響されることを示している. bAPの広がりがシナプス可塑性によって影響されることは, 『樹状突起に沿ったbAPの広がり』は可塑性を調節する要素の可塑性いわゆるメタ可塑性の一要素としてbAPが含まれるという仮説を示唆するものである.
|