拡張型ケイ素置換π電子系化合物の合成とポリアニオン化
Project/Area Number |
12020209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関口 章 筑波大学, 化学系, 教授 (90143164)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | π電子系化合物 / シクロブタジエンジアニオン / シクロブタジエン / トランスメタル化 / ジリチウム化合物 / ケイ素基 / 芳香族性 / 反芳香族性 |
Research Abstract |
ケイ素置換シクロブタジエンを配位子とするコバルト錯体と金属リチウムをTHF中反応させることにより、シクロブタジエンジアニオンをジリチウム錯体として初めて安定に合成単離することに成功した。この反応は、遷移金属錯体から典型金属錯体にトランスメタル化するという従来にないアニオン種の調製法である。 DMEを配位子とするシクロブタジエンジアニオンジリチウム錯体の分子構造をX線結晶構造解析により解明した。2つのリチウムは四員環中央の上下に位置しており、4つの炭素とη^4-型に結合している。四員環はほぼ平面正方形構造である。 LiNMRスペクトルでは高磁場領域の-5ppm付近にシグナルが観測されることから、リチウムは四員環6π電子系の反磁性環電流により強く遮蔽されている。構造学的特徴および磁気的性質から、合成したシクロブタジエンジアニオンがケイ素基によって安定化された非ベンゼン系芳香族化合物であることを明らかにした。また、磁気円二色性(MCD)スペクトルを用いて、シクロブタジエンジアニオンのHOMOの縮退について解明した。 合成したシクロブタジエンジアニオンジリチウム錯体と酸化剤である1,2-ジブロモエタンをTHF中作用させることにより、中性の4π電子系化合物であるケイ素置換シクロブタジエンに合成変換することに成功した。これはシクロブタジエンの新規な合成法である。ケイ素間を架橋したシクロブタジエンについても同様の方法で合成し、分子構造をX線結晶構造解析により解明した。四員環は平面長方形構造であり、二重結合は反芳香族性を避けるように局在化している。合成したケイ素置換シクロブタジエンの光反応性、還元反応などについても明らかにした。 また、異なる電子的効果を有するフェニル基が置換したシクロブタジエンジアニオンについてもそれぞれジリチウム錯体として合成単離し、分子構造をX線結晶構造解析により解明するとともに、その芳香族性の程度について明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)