Project/Area Number |
12020211
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
西村 淳 群馬大学, 工学部, 教授 (10107352)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛田 正史 群馬大学, 工学部, 教授 (30164007)
中村 洋介 群馬大学, 工学部, 助手 (60261864)
|
Project Period (FY) |
2000
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
|
Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | エキシマー蛍光 / フェナントレン / フェナントレノファン / 光環化付加反応 / ジビニルフェナントレン / 芳香環の平行な配置 / 芳香族の重なり / シクロブタン環 |
Research Abstract |
フェナントレンは、ピレンやナフタレン等とは異なりエキシマーの形成が困難であり、濃厚な溶液中においてもエキシマー蛍光を与えないという点で特異な縮合多環芳香族である。しかし、フェナントレノファンの合成が困難なため、これまでその光物理的性質等についてほとんど検討がなされていなかった。我々の見出した光環化付加反応を用いた方法はフェナントレノファンの合成に有効であり、その配座とエキシマー形成挙動の研究を可能とした。例えば、ジビニルフェナントレンから得られたフェナントレノファンのうち、2つのフェナントレン環が短軸方向に約50度と大きく開いたものはモノマー蛍光のみを与えるものの、ほぼ平行に位置したものは室温でエキシマー蛍光を与え、フェナントレンのエキシマー形成には芳香環の平行な配置が必要であることが示された。さらに、シクロブタン環の代わりにオリゴメチレン鎖を有する化合物に関する検討により、短軸方向には約25度まで開いた場合でもエキシマー蛍光を示すことが明らかとなった。 一方Staabらは、[2.2](2,7)フェナントレノファンのsyn体とanti体の異性体混合物が4.2ケルビンで、フルオレン結晶中でエキシマー蛍光を与えることを報告しているが、いずれの寄与によるものかは明確でない。そこで我々は、芳香族の重なりの程度の異なる3種類のanti体を分子設計し、エキシマー形成に必要な芳香環の重なりを明らかにした。その結果、エキシマーの形成には少なくとも1つの六員環のほぼ平行に位置した重なりが必要であると結論される。このようにフェナントレンがエキシマー蛍光を与えるための構造上の要因が明らかにされてきたが、今後エキシマー蛍光の量子収率や寿命等、さらに詳細な動的挙動の解明が望まれる。
|