水素-電子-スピン-格子結合系のメカニズムと巨視的物性
Project/Area Number |
12020212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 定 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00155011)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | プロトン伝導 / 水酸基の運動 / N,N′二置換ジチオオキサミド錯体 / 固体高分解能重水素核NMR / プロトンリレー / オキソニウムイオンクラスター / 水分子クラスダー |
Research Abstract |
N,N′二置換ジチオオキサミドのCu2+錯体について、置換基としてヒドロキシエテル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシペンチル基を持つ錯体の水酸基と取り込まれた水分子を重水素化した錯体を合成し、水酸基や取り込まれた水分子の運動性を重水素核NMRにより調べた。また、比較として水酸基がないメチル基やエチル基を置換基として持つ錯体についても調べた。粉末X線回折の結果からアルキル鎖が長いほどCu2+が作る面とこの上下の面との相関距離が大きくなること、TG-DTAの測定結果から水酸基を持つ錯体は合成した状態では準安定相であること、および250度C以上で分解することがわかった。重水素核NMRの測定やTG-DTAの測定から、水酸基を持たない錯体は水分子を取り込まないことがわかったことから、これら一連の錯体に取り込まれる水分子はCu2+の軸方向に配位するのではなく、水酸基の近くに存在すると考えられる。ヒドロキシペンチル基を持つ錯体の水酸基の重水素核NMRスペクトルの温度依存性から、水酸基は230K〜250Kですでに三方向に向きを変える運動を起こし、さらに室温近傍ではアルキル鎖も動き出すことがわかった。この水酸基部分の運動はヒドロキシエテル体よりも激しく、ヒドロキシペンチル体ではヒドロキシエチル体よりも、大きなプロトン伝導が期待されることがわかった。 二つの四角酸部位の間にビフェニル基を挟んだ強い有機酸(BSQB)の含水結晶について、オキソニウムイオンと水分子の水素結合クラスター内でのプロトンリレーによることを重水素化物の固体高分解能重水素核NMRスペクトルにより明らかにした。186Kの信号は6.8ppmと22ppmに明らかに分裂しており、水分子とオキソニウムイオンに帰属される。温度を上げていくと252Kで二つの信号は融合し一つの幅広い信号となり、さらに温度を上げるとその線幅は狭くなっていく。このスペクトルの温度塩化は水素結合を作っているすべての結晶水とオキソニウムイオンの間で水素原子の交換が起こっていることを示しており、オキソニウムイオンと水分子の水素結合クラスター内でプロトンリレーが起こっていることを示している。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)