結晶中の熱・光誘起プロトン移動によるπ共役系への摂動
Project/Area Number |
12020216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 桂一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50114426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 潤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (00313172)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | サーモクロミズム / プロトン互変異性 / サリチリデンアニリン / X線結晶解析 / 分子間水素結合 / 双極イオン構造 / キノイド構造 |
Research Abstract |
プロトン移動は,多くの場合π共役系の組み替えを伴うので,それによって系の物理的性質が変化する.したがって,熱ないし光誘起プロトン移動は,π共役系に対する摂動と見ることができ、固体物質の物理的性質を制御する有力な方法となりうる.この観点からすでに多くの研究が行われているが,プロトン移動に伴う分子構造の変化が明らかにされている例は少ない.最近,私たちは,サリチリデンアニリンの誘導体であるN-(2-ヒドロキシ-5-クロロベンジリデン)-4-ヒドロキシアニリン(1)について,熱および光誘起プロトン移動に伴う結晶構造の変化を初めて観測することに成功した.この結晶では分子間水素結合のためにNH形が著しく安定化され,OH形よりも安定になっている.したがって,十分に低い温度では,NH形だけが存在すると期待される.そこで,15KにおいてX線結晶解析を行い,純粋なNH形の分子構造を決定することに成功した.孤立分子についてのDFT計算の結果との比較から,次のことが結論できた.1)1のNH形は,結晶中と気相中とで分子構造が著しく異なり,結晶中では主として双極イオン構造をとっているが,気相中では主としてキノイド構造をとっている.2)これに対してOH形は,気相および結晶中のいずれにおいてもほぼ同一の構造をとる.
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)