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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究は、高い転移温度を有する分子性磁性体や、磁性と関連した複合材料の開発が主眼である。芳香族置換基を有するニトロキシドラジカルを、有機ラジカル系強磁性体の構築のために用いた。また、複素芳香族置換基を遷移金属錯体の配位子として用いた。 純粋な有機化合物からなる磁性体の構築のために、ジフェニルニトロキシドラジカル類の磁性体への応用を検討したところ、分子間で強磁性的相互作用を与える系が比較的多いことがわかった。そのような背景からスピロビアクリジン-N,N'-ジオキシルを設計し、合成した。 ピリミジン架橋(PM)を用いた錯体の分子性磁性体の開発を進めた。アニオンにも磁気カップラーとして機能させる目的で、π共役系1価アニオンであるN(CN)_2^-を導入した。PM・M[N(CN)_2]_2(M=Fe,Co,Ni)の結晶構造は同形であり、磁気測定によれば、転移温度はそれぞれ3.2,1.8,8.4Kであった。前の二者は弱強磁性挙動を示した。 ラジカル置換基としてニトロニルニトロキシド(NN)を選び、それを4位あるいは5位に有するPM架橋の利用を検討した。[4PMNN・CuX_2]_6(X=Cl,Br)は、12スピン系大員環状の分子構造を有し、結晶中ではカラムを形成する。チューブ状空間にゲスト分子を取り込ませたところ、強磁性的相互作用が増大した。すなわち、分子磁性をホスト-ゲスト化学などにより超分子的に制御する可能性が示された。複素環としてピラジンを用いたもののなかにも、磁気的に興味深い物質が得られた。
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