環状共役系の速度論的安定性の量子化学的解析方法の探索
Project/Area Number |
12020224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
相原 惇一 静岡大学, 理学部, 教授 (40001838)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 速度論的安定性 / 結合共鳴エネルギー / 局在化エネルギー / 反応性 / フラーレン / 金属内包フラーレン / フラーレンイオン / 孤立5員環則 |
Research Abstract |
これまでの新規共役系の設計では、分子全体の熱力学的安定性(エネルギー的安定性)のみが検討された。しかし、熱力学的に安定な分子でも反応性が大きければ単離できないので、その速度論的安定性(反応しにくさ)を正確に予測することが非常に重要となる。 本研究では、まず我々が定義した結合共鳴エネルギー(トポロジー的共鳴エネルギーに対する個々の結合の寄与,BRE)を用いて、孤立5員環則を満足する一連のフラーレン異性体とその分子イオン(1価から6価の陰イオン)の速度論的安定性を予測し、それを実験と比較した。それによると、すでに単離されているフラーレン異性体および金属内包フラーレンのフラーレン殻はすべて、分子中の最小BREが-0.100|β|より大きいことが分かった。最近単離された孤立5員環則を満足しない金属内包フラーレンでも例外は認められなかった。中性フラーレンに限定すると、分子内の最小BREが陰イオンに対する局在化エネルギーの分子内での最小値と非常によい相関があることも分かった。このことから、BREは、環状共役系に対する簡便でかつ非常に優れた反応性の指数であり、フラーレンの速度論的安定性の主な原因が芳香族性にあると考えられる。この考え方をもとにして、窒素やホウ素のようなヘテロ原子を含むフラーレン分子の安定性の予測を行った。また、孤立5員環則を満足するフラーレン分子では、非常に広範囲の炭素数にわたって、HOMO-LUMOエネルギー間隔に炭素数を掛けた加重HOMO-LUMOエネルギー間隔がよい速度論的安定性の指標となり、反結合性のLUMOをもつ異性体では、この値が非常に大きくなることを見出した。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)