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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は小さい金属錯体を「積み木」として用い、これを分子設計的に組み立て、ナノメートルサイズの球状、ワイヤー状の超構造をもつインテリジェント高次金属クラスター錯体を構築する事である。これらのクラスターのインテリジェント性として、(1)量子箱、量子線類似の量子物性の発現(2)複数の発光金属中心をもつクラスターの構築による新発光特性の発現を期待している。 【I】新規金クラスターの合成:(1)の量子特性の発現にはこれまでの研究によると金クラスターが適していると考えられる。そこで新規金クラスターの合成を試み、以下の3種のクラスターの合成と結晶解析に成功した;Au[Co(CO)_3(P(m-CF_3C_6H_4)_3]_2(1),Au[Co(CO)_3(P(p-CF_3C_6H_4)_3]_2(2),Au_<11>L_7Cl_3(3)(L=P(m-CF_3C_6H_4)_3).1,2は空気中でも安定な、Auの形式電荷が+2の珍しい錯体であり、常磁性と推定される。XPSスペクトルの測定でもAuが異常な電子状態であることが明らかにされた。 【II】新規スプラ構造の構築:インテリジェント物質の開発法の一つとして近年水素結合のような弱い相互作用力を利用した「結晶工学」が盛んになっている。我々はこのような弱い相互作用力としてd^<10>のAu(I)間のAu…Au相互作用、つまりaurophilicityやπ-π相互作用を利用してスプラ構造、インテリジェント物質の開発を試みることにした。その結果、二次元無限鎖構造の[Au(PPh_3)(S-C_6H_4-4-N=CH-C_5H_4N-4](4),二次元梯子状のAu{P(3,5-(CF_3)_2C_6H_3)_3}(Sph)(5)の合成と結晶解析に成功した。 【III】新規発光性スプラ錯体の合成:序論の(2)に関する目的を達成するため、RuとAu,RuとCoの2種の金属を同一分子中にもつスプラ錯体の合成に取り組んだ。[Ru(bpy)_2(o-phen4-C≡C-Au-(PPh_3)](PF_6)(6),[Ru(bpy)_2(o-phen-4-C≡C-tol(Co_2(CO)_4(μ-dppe)](7)の合成に成功した。とりわけ6ではAu(I)由来の波長で励起するとRu(II)サイトで発光することが判明した。また7ではo-phen-C≡C由来のLC吸収帯で励起するとこの吸収がクエンチされることが判明した。今後紫外光励起により青-緑色発光するスプラ錯体の合成を目指す。
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