Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Research Abstract |
1.スピンクロスオーバー錯体[Fe(2-pic)_3]Cl_?C_nH_<2n+1>OH(n=0,1)の熱容量と相転移 本錯体は溶媒和分子により,スピンクロスオーバー挙動が著しく異なる.メタノール和物は150K付近を中心とするブロードな熱異常を示した.他方1水和物では,スピンクロスオーバー転移が90Kもの大きなヒステリシスを示すと考えられてきたが,準安定相を介在した熱履歴であることを明らかにした. 2.混合原子価鉄錯体[Npr_4][Fe^<II>Fe^<III>(dto)_3]における電荷移動と低スピン【double arrow】高スピン転移 本錯体は電荷移動とスピン状態変化が同時に起こる特異な相転移現象を示す.熱容量測定の結果,122.4Kに低スピンから高スピンへの変化を伴う1次相転移を観測した.単核スピンクロスオーバー錯体と比較して,転移エントロピーが極めて小さい理由として,スピンクロスオーバーが電荷移動と連動して異なるサイトで起こるためであることを明らかにした. 3.混合原子価ルテニウム3核錯体[Ru^<II>Ru^<III>_2O(O_2CCH_3)_6(CNXy)_3]の熱容量 本錯体の分子内電子移動の様子を調べる目的で熱容量測定を行った.その結果,0.2K以上では何も熱異常は観測されなかった.この事実は,本錯体では0.2Kの極低温でも分子内電子移動が速く起こっているか,またはコヒーレントな電荷分布で3つのルテニウムが8/3価の状態であることを示唆している. 4.集積型金属錯体[Mn(cyclam)][Fe(CN)6]?3H2Oの熱容量と磁気相転移 本錯体は,高スピンのMn(III)(S=2)と低スピンのFe(III)(S=1/2)が交互に並んだ鎖状構造をもち,磁気相転移温度以下で弱強磁性を示す.熱容量測定の結果,6.2Kに磁気相転移と1次元磁性体に特有な短距離秩序によるブロードな熱異常が見出された.熱容量と磁化の磁場依存性から,本錯体はメタ磁性体である可能性を示唆した. 5.高スピンクラスター錯体[Mn4(hmp)_6R_2](ClO_4)_2(R=OAc,Cl)の熱容量の磁場依存性 両錯体はS=9という大きなスピン基底状態をもつMn_4クラスターから成る.磁場中での熱容量測定から得られた熱容量の磁場依存性より,両錯体がS=9の1次元反強磁性鎖の磁気構造をもつことを示した.
|