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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
1,1,1-トリス(アミノメチル)エタンとサリチルアルデヒドとの縮合(1:3)で生じる三脚型6座シッフ塩基配位子(H_3L)の金属錯体について,その構造と磁気的性質を研究した. Ni^<2+>とH_3Lの反応(1:1)で得られる青緑色の錯体[Ni(HL)]は,X線構造解析により隣接した錯体分子のフェノール性酸素とフェノレート酸素の間で水素結合(OH…0,2.4Å)を介して2量体化していることが明らかになった.Ni^<2+>イオン間には,反強磁性的相互作用が観測された(J=-1.00cm^<-1>). 一方,塩基存在下でNi^<2+>とH_3Lの反応(2:3)で得られる黄色の錯体は,X線構造解析によりフェノール性酸素で架橋した直線形の3核錯体([Ni_3L_2])であることを示した.両側の[NiL]^-は,中央のNi^<2+>に対して3座の錯体配位子として作用している.両端の単核ユニット部分はキラル(ΔまたはΛ)であるため,3核錯体にはホモキラルな組とヘテロキラルな組が可能である.構造解析した錯体はホモキラル構造であった.しかし,単位胞中にはΔ-ΔとΛ-Λの組が同数個含まれていて,自然分晶はしていない.隣接したNi^<2+>間には強磁性的相互作用(J=14.8cm^<-1>)が,末端のNi^<2+>間には反強磁性的相互作用(J=-1.77cm^<-1>)がみられる. 単核錯体ユニット溶液に塩基を加えた後,ニッケル以外の金属イオン(M=Mn,Fe,Co,Cu)を反応させることにより,異種金属3核錯体([M(NiL)_2])を合成することができた.マンガン(II),鉄(II)およびコバルト(II)錯体についてはX線構造解析により[Ni_3L_2]と等構造であることを確認した.
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