転写因子のクロストークによる神経幹細胞の多分化能維持と細胞系譜制御機構の解明
Project/Area Number |
12028211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中島 欽一 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (80302892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田賀 哲也 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (40192629)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2000: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | BMP2 / 神経幹細胞 / アストロサイト / ニューロン分化抑御 / Id / Smad / bHLH / HES5 |
Research Abstract |
我々は今までにLIFの下流で活性化される転写因子STAT3とBMP2の下流で活性化される転写因子Smad1が転写共役因子p300を介して複合体を形成することにより、2種類のサイトカイン群のシグナル経路が核内で統合され神経幹細胞を含む未分化神経上皮細胞の相乗的なアストロサイトへの分化誘導がなされることを明らかにしてきた。本年度の研究ではさらに、BMP2が単独でニューロンへの分化を抑制しつつ神経上皮細胞の分化をアストロサイトへと運命付けること、及びBMP2によるニューロン分化抑制の分子基盤を明らかにした。神経上皮細胞の培養系にBMP2を添加して2日間培養すると、ニューロン特異的なマーカーであるMAP2陽性細胞の出現がコントロールに比べ激減すると同時に、アストロサイト特異的マーカー(S100β)陽性細胞数が増大した。しかしもう一つのアストロサイト特異的マーカー(GFAP)を発現するより成熟したアストロサイトへの分化にはLIFによる刺激が必要であった。一方、ニューロンの分化にはMash1などを含むbHLHファミリーに属する転写因子群が重要な役割を果たすことが知られているが、bHLH因子群の機能を抑制することが示されている抑制性HLH因子のうち、Notchの活性化によってのみ発現が誘導されることが示されていたHes-5に加え、Id1及びId3の発現がBMP2シグナルの下流の転写因子Smad群によって誘導されることが分かった。さらにこれらの抑制性HLH因子群を遺伝子導入によって神経上皮細胞に発現させた場合、Mash1の機能阻害だけでなく実際にニューロンへの分化も抑制されたことより、BMP2が抑制性HLH因子群の発現誘導を介してニューロン分化を抑制するという新規メカニズムが明らかとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)