転写因子によるクロマチン構造変化:原子間力顕微鏡による解析
Project/Area Number |
12028217
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹安 邦夫 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (40135695)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 雅彦 京都大学, 総合人間学部, 助手 (20283575)
|
Project Period (FY) |
2000
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Keywords | 原子間力顕微鏡(AFM) / クロマチン / ヒストン / カーボンナノチューブ / β-グロビン遺伝子 / エンハンサー / 複製開始因子 |
Research Abstract |
我々は一昨年、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いて、数千塩基対からなるDNAとコアヒストンとから再構成されたヌクレオソームの定量的可視化に成功し、1つのヌクレオソームあたり146塩基対のDNAが取り込まれることを示した。また、ポジショニングシグナルを有する遺伝子とコアヒストンとからヌクレオソームを再構成すると、ヌクレオソームが遺伝子の期待される位置にポジショニングすること、さらに、この系にヒストンH1を加えるとヌクレオソーム上のDNAの巻きかたが更にtightになることを示した(FEBS Lett.,452:267-271.1999;Proc.Nat'l Acad.Sci.USA,97:7266-7271.)。本研究では、AFMの更なる応用として、再構成ヌクレオソーム系を用いてヌクレオソーム再構築関連因子および転写調節関連因子の作用を解析し、クロマチンレベルでの遺伝子・転写因子の"高次構造・機能協関"の解明を目指した。 数千-数万塩基対からなるβグロビン遺伝子のエンハンサー領域(Locus Control Region(LCR))における調節タンパク質Bach1/MafK複合体の結合をAFMで可視化した(五十嵐との共同研究;J.Electron Microscopy,49:407-413.2000)。このLCRには複数のDNaseI Hypersensitive Site(HS1-HS5)が存在し、その中のMaf Recognition Element(MARE)にBach1/Maf複合体が結合することが生化学的に証明されている。我々はAFMを用いて(a)Bach1/Maf複合体が塩基配列により予想される結合部位にそれぞれ結合すること、(b)中でも、HS2にはMAREが2つ存在し、HS2を中心に複数のBach1/MafK複合体を介して多重DNAループが形成されること、(c)その際、HS2上のBach1/MafK複合体は移動しないが、HS3あるいはHS4上のBach1/MafK複合体はDNAループが形成されるとそこから移動することを統計的に示した。これらの事実に基づき、エンハンサータンパク質の作用機構として「ヌクレオソームの"Kiss & Pull"モデル」を提唱した。今後、クロマチンレベルでの転写機構解明に向けて、分子生物学的手法(ヌクレオソーム再構成)と構造生物学的手法(AFM)との組み合わせは強力なアプローチとなると期待される。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)