Project/Area Number |
12028218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
横田 義史 福井医科大学, 医学部, 教授 (50222386)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 分化抑制因子 / Id2 / 細胞分化 / 増殖制御 / NK細胞 / 乳腺上皮細胞 |
Research Abstract |
分化抑制因子Id2は細胞分化に関与するbasic helix-loop-helix(bHLH)型転写因子の機能阻害因子である。本研究の目的はId2欠損マウスみられる多彩な病態の分子基盤を明らかにし、生体における分化抑制因子の役割を解明することにある。本研究により以下の成果を挙げた。 (1)胎仔胸腺細胞を用いたNK細胞の分化過程の解析 Id2-/-胸腺ではNK細胞もNK細胞の前駆細胞を選択的に含むCD44+CD25-CD122+の細胞集団も検出できなかった。胎仔胸腺器官培養法を用いて前駆細胞活性を単一細胞レベルで検討したところ、前駆細胞の総数に差は認めないが、野生型ではT細胞、NK細胞それぞれの前駆細胞、およびT細胞・NK細胞共通前駆細胞を検出できたのに対して、Id2欠損マウスではT細胞の前駆細胞しか検出できなかった。Id2の発現は、NK細胞の前駆細胞活性を認める分画においてのみ認められた。以上より、Id2がNK細胞の運命決定に深く関わっていることが明らかとなった。 (2)乳汁分泌不全の解析 Id2欠損マウスでは妊娠に伴う乳腺上皮細胞の増殖・分化が認められず、乳汁分泌がみられない。乳腺組織の移植実験により、乳腺上皮細胞自体に原因があることを確認した。cdkインヒビターであるP21およびP27の発現増加により妊娠初期の上皮細胞の増殖が抑制されていること、また、p53-BAXの経路の活性化により妊娠後期の上皮細胞が著明なアポトーシスを示すことを明らかにした。さらに、遺伝子欠損マウスにおいて乳腺の発達に関わる遺伝子の発現解析を行ったところ、いずれの発現も減少を認めなかった。以上の結果はId2が乳腺上皮細胞の妊娠に伴う増殖に必須であり、かつ増殖刺激の下流で機能していることを示唆するものである。
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