アクトミオシン滑り運動の新たな作動機構の可能性を急速凍結フリーズレプリカ法で探る
Project/Area Number |
12030208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片山 栄作 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50111505)
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Project Period (FY) |
2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2000: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | 急速凍結電子顕微鏡法 / ディープエッチ・レプリカ法 / アクチン / ミオシン・クロスブリッジ / コンフォメーション変化 / 3次元像再構成 / サブドメイン構造 / コンピュータ・シミュレーション |
Research Abstract |
現在、筋収縮の分子機構に関して優勢な学説は「レバーアームの首振り」である。アクトミオシン境界面は構造変化せず、ヌクレオチド結合型ミオシン頭部の結晶中で見られる様な分子内の屈曲こそが張力発生の源であると考える説である。本研究は、その真偽を検証するために、in vitro滑り運動中に実際に起きている現象を高い時間/空間分解能の得られる急速凍結ディープエッチ・レプリカ法で捉え、新たな原理に基づく再構成法を用いて機能中の分子の精密な3次元構造を得ることを目標として開始した。電子線照射に強いレプリカの特長を生かし、電子顕微鏡内で試料を傾斜して撮影した同一視野の多数の像において、多くの特徴点の高さを立体視差測定法により精密計測した。そのデータを、多くのゴースト像を含む、従来の逆投影法による再構成像の結果に重ねることにより無効な濃度領域を取り除き、目標とする3次元構造を求めることができた。再構成像に認められたサブドメイン配置は、上記レバーアーム説から予測される構造とは相容れず、これまで予想されていなかった様々なコンフォメーションの粒子が多数を占めた。現在、アルゴリズムを更に改良し、すべての濃度情報を有効に用いる新手法を開発中である。また、張力発生中のミオシン頭部の構造を上記の方法で捉えるべく準備を進めている。一方、X線結晶回折などにより、既に原子座標の得られている対象に関して、その原子モデルのコンピュータシミュレーションにより、それらがどのようなフリーズレプリカ像を与えるべきかを的確に推定する技術を開発した。実際にアクチン/重メロミオシンの硬直複合体に適用したところ、従来のアクチン/S1の仮想的ドッキング・モデルは、分子の向きに関しては概ね正しいものの、レバーアーム部分の最尾部は外力に応じてGly-796で容易に回転することが判明した。レバーアーム説にとっては不都合な結果である。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)